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ブログ「もっと知りたい!スイス生活」 絶景の山を歩く 〜 スイス、気軽に楽しむハイキング

8月も終わりを告げようとしている今、スイスの空気は澄み渡り、筆者の住むチューリヒ湖畔の町で見上げる空には高々と、うろこ雲が浮かぶ日が増えてきた。肌寒く感じ始めた風や、見渡す木々の葉の色合いの変化にも、迫り来る秋の気配が感じられるようになった。自宅近くにある農園では、色とりどりの西洋カボチャが大きく成長し、季節は夏から秋へと移り変わろうとしている。



美しい湖と、遠くにベルナーオーバーラントの山々を眺めながら歩く

美しい湖と、遠くにベルナーオーバーラントの山々を眺めながら歩く

(swissinfo.ch)

 夏の名残を感じつつ、寒い冬が訪れる前に、人々が楽しみを感じる事の一つが山歩きやハイキングである。スイスの山々では整備されたハイキングコースがあちらこちらにあり、春から秋にかけて、地元の人々やスイスを訪れる観光客たちは、季節の風景を楽しみながら、自然いっぱいの山道を歩く。筆者は決して上級ハイカーではないが、スイス各地には初級者でも気軽に楽しめる平たんなハイキングコースが整い、それらはとても歩きやすく、日本にいた頃には、学生時代を最後に山に登った事も無かった自分であったが、スイスに住んで以来、山歩きに魅了された一人でもある。

 今回は前回の記事に引き続き、シュタンザーホルン(Stanserhorn 標高1898m)での夏の1日を振り返りながら、みなさまにもスイスの山のハイキングの一例をご紹介してみよう思う。

 一口に「ハイキング」と言っても、トレッキングシューズを履き、ストックを手に持ち楽しむ上級者向けのハイキングから、今回歩いた初級者用のハイキングコースのように運動靴で気軽に楽しめるコースまで、スイスでは同じ山の上でも、様々な異なったコースが存在する。



運動靴でも気軽に歩ける、平たんに整備された初級者向けハイキングコース

運動靴でも気軽に歩ける、平たんに整備された初級者向けハイキングコース

(swissinfo.ch)

 ここで前回の記事ではお伝えしきれなかった、シュタンザーホルンについて、もう少々述べてみよう。この山に人々が登りはじめて、今年で122年。前半の記事にて記述した2階建てオープンデッキケーブルカー「CabriO(カブリオ)」で注目をされるずっと以前から、人々は山のふもとと山頂の間を行き来した。2年前にカブリオがデビューするまでは、通常のロープウェイが頂上駅まで旅行客を運んでいた。

 シュタンザーホルンでは2008年より、山のレンジャーたちが勤務している。彼らの仕事内容は、主にガイド業務であるようだ。現在は男性15名、女性が2名の合計17名のレンジャーが、旅人たちに稀少な高山の花々が咲く場所や、鷲の飛ぶ場所など、お勧めスポットを予約制で案内してくれるという。

 筆者が歩いたのは、カブリオで登ったシュタンザーホルン頂上駅周辺から、緩やかな坂道を片道約20分で頂上の展望台まで上る初級者コース。展望台からの帰り道には別のルートを下り、アルプスの山々や青く輝く湖を眺めながら、同駅へと40分程の道のりを、高山に咲く花々や、遠くに広がるベルナーオーバーラントの山々を眺めながら楽しんだ。



スイスのハイキングコースでは、方角と所要時間が記されたサインが目的地への目印

スイスのハイキングコースでは、方角と所要時間が記されたサインが目的地への目印

(swissinfo.ch)

 スタート地点では、まずは地図を見て、コースを確認して出発。ほぼ平たんな道は整備されているため、ベビーカーを押しながら歩く人々も目に映る。青くきらめく、美しきフィアヴァルトシュテッターゼー(ルツェルン湖)を眺めながら、緩やかな坂道をのんびりと歩く。少し登ると、アルプスの少女ハイジが駆け出してきそうな、可愛らしい山小屋が見えて来た。その名も「HEIDI」と書かれた小屋の裏手に回ってみると、そこにはミニ・マーモットワールドが出現。2匹のマーモットが人工的に作られた巣穴から顔を出し、広々とした専用フィールドを素早く駆け回り、可愛らしい姿で見物する人々を楽しませていた。通常は高所での山歩きの途中で、運良く見かける事もできるマーモットであるが、ここでは観光客用のアトラクションとして、夏の間の期間限定で登場していた。まるで手が届きそうなほどに近くでマーモットを目にしたのは初めてで、人なつこく見物人たちの前に顔を出し、くるくると動き回るそのキュートな姿に、しばしの間、目を奪われた。



アルプスの少女ハイジが飛び出して来そうな、可愛い山小屋

アルプスの少女ハイジが飛び出して来そうな、可愛い山小屋

(swissinfo.ch)


キュートなマーモットが、山のビジターたちを楽しませる

キュートなマーモットが、山のビジターたちを楽しませる

(swissinfo.ch)

 シュタンザーホルンのみならず、スイス各地の初級者向けのハイキングコースでは、小さな子供も家族に手を引かれて、大人と一緒に歩いている姿に遭遇する。幼い頃から、山や自然に慣れ親しむ子供達の姿を目の当たりにしていると、大人になったスイスの人々の多くが、屋外のアクティビティー好きな、アウトドア派である事にも納得ができる。

 スイスのハイキングコースでよく見かける光景の一つが、人々が休憩の際に利用できる、バーベキューエリアである。材料は各自の持ち寄りなのだが、ソーセージや肉などの食材を焼けるコーナーと、青空の下、椅子/テーブルが設置され、各々がその場でバーベキューランチを楽しむ。山の空気をいっぱいに吸い込みながらの食事の味は、また格別だ。



歩き疲れたらバーベキューランチでひと休み、山の空気が美味しさを一層引き立てる

歩き疲れたらバーベキューランチでひと休み、山の空気が美味しさを一層引き立てる

(swissinfo.ch)

 山歩きやハイキングの途中で道が二手に分かれる際に目にするのが、要所要所に設置されている黄色い矢印のサイン。これは目的地までの方角と距離、時間等をハイカーたちに示すもので、サインに沿って進めば、目的地へ迷う事無く到着できる。ここで予定していたルートとは別の道を進む事もできるし、余力がある人には、帰りに遠回りをして別のルートを進んでみるというチャレンジも可能なのだ。

 景色を堪能しながら最後の急な坂を登り切り、シュタンザーホルンの山頂展望台へ。ここにはロープウェイ駅に隣接するのとは別の展望台から、360度がぐるりと見渡せる。晴れた日には100キロも先のアルプスの山々と、10カ所もの湖を見渡せるのだそうだ。山の空気は美味しく気分は爽快!一方からはピラトゥスを真正面に眺め、その背後にはドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)と、右手には青々としたフィアヴァルトシュテッターゼーが広がる。反対側には、彼方に広がるベルナーオーバーラントの山々が連なっている。この日は晴天で、メンヒ(Mönch)、アイガー(Eiger)、ユングフラウ(Jungfrau)の一部と、ヴェッターホルン(Wetterhorn)、シュレックホルン(Schreckhorn)などの山々まで見渡す事が出来た。



ベルナーオーバラント三山(メンヒ、アイガー、ユングフラフ)とアルプスの山々

ベルナーオーバラント三山(メンヒ、アイガー、ユングフラフ)とアルプスの山々

(swissinfo.ch)

 筆者は過去に、ピラトゥス、ティトリス、リギなど、乗り物を利用して、この地域の山々の頂上まで登ってみたのだが、それぞれの山の魅力は千差万別で異なるものの、個人的な意見として、頂上から見渡す風景という観点では、ここから眺める景色を一番にお勧めする。



高台では足を止め、雄大なアルプスの風景を楽しむ絶景ハイキング!

高台では足を止め、雄大なアルプスの風景を楽しむ絶景ハイキング!

(swissinfo.ch)

 下りの道は遠くにそびえるアルプスの山を見渡し、高山に咲く花々に囲まれ、渓谷を見下ろす細い道を歩いた。途中、どこかで耳にした事のある美しい音色が鳴り響き、音が聴こえる方角へ向かって歩いてみると、アルペンホルンの練習をしている人に出会った。壮大な景色をバックに演奏され、山あいに響きわたるアルペンホルンの音色は、まるで映画の一場面を見ているかのようで、スイスの山歩きの清々しさを一層引き立ててくれた。



普段は目にすることのない、高山の花々たち

普段は目にすることのない、高山の花々たち

(swissinfo.ch)

 頂上の展望台までの往復共に、異なったコースを辿り、約1時間ちょっとの初級者向けハイキングコースは、さほどの健脚者でなくとも十分に堪能出来る道であった。このように気軽にハイキングを体験できるコースは、スイス各地にある。登山列車やロープウェイ、ケーブルカーなど、高山へと上る交通網が発達しているスイスでは、歩かなくとも山の頂上まで登れるイメージも強いのだが、自然いっぱいの山道を、周りの壮大な風景を眺めながら自分の足で歩き、楽しんでみるのも、スイスの山の醍醐味を味わえる、大きな魅力でもあるのだ。

スミス 香


プロフィール:スミス 香

福岡生まれの福岡育ち。都内の大学へ進学、その後就職し、以降は東京で過ごす。スイス在住11年目。現在はドイツ語圏のチューリヒ州で、日本文化をこよなく愛する英国人の夫と二人暮らし。日本・スイス・英国と3つの文化に囲まれながら、スイスでの生活は現在でもカルチャーショックを感じる日々。趣味は野球観戦、旅行、食べ歩き、美味しいワインを楽しむ事。自身では2009年より、美しいスイスの自然と季節の移り変わり、人々の生活風景を綴る、個人のブログ「スイスの街角から」をチューリヒ湖畔より更新中。


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