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マッターホルンで見つかった日本人登山家の遺骨、DNA鑑定終了

45年前、日本人登山家の一人が履いていた靴も見つかった Police cantonale valaisanne

スイス・ヴァレー州警察は6日、2014年9月にマッターホルンふもとの氷河で見つかった遺骨の一部や登山靴が、1970年にマッターホルン北壁を目指していた日本人登山家2人のものと確認したと発表した。

 1970年8月18日、マッターホルン北壁登頂を目指した日本人登山家2人が行方不明になった。数十年の間、遺体は見つからなかったが、2人の遺骨と遺品が昨年9月、標高約2800メートル付近の氷河の先端で発見された。これらは元々氷河の中に閉じ込められていたが、近年の温暖化のせいで氷河が溶けて後退し、発見につながった。

 遺骨と遺品は、ヴァレー州立病院内の法医学研究所(ICHV)に送られDNA鑑定を受けた。その結果、一人の登山家の遺骨は今年6月11日に、もう一人のものは7月20日に鑑定が終了。遺族もその結果を確認したという。

前日まで嵐が吹き荒れていた

 ヴァレー州の日刊紙ヌーベリストによれば、2人とも男性で、一人は及川三千雄さん(当時21歳)。もう一人は小林正幸さん(当時23歳)。

 当時の証言によると、2人は最難関の北壁を目指し、マッターホルン登山の拠点として有名なヘルンリ小屋を午後に発った。最後に2人の生存が確認されたのは、標高4200メートルの地点。その日までの数日間、山は嵐が吹き荒れていたという。2人が行方不明になったことは、6日後に友人たちによってツェルマットの警察に連絡された。

 なお、氷河の後退によって、昔の行方不明者が発見される例は珍しくない。今回と同じく昨年、1979年にマッターホルンで行方不明になった27歳のイギリス人登山家、ジョナサン・コンビルさんの遺体も見つかっている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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