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UBSに回復の兆し

ペーター・クーラー会長は総会でこれからの方針を説明したが、人員削減には触れなかった Reuters

スイス最大手UBS銀行は10月2日、バーゼルで今年3回目の株主総会を開いた。アメリカ発の不動産危機でこれまでに490億フラン ( 約4兆5700億円 ) の損失を出しているが、第3四半期は再び黒字を計上できる見込みだ。

3日朝には、投資部門でさらに2000人を解雇すると発表したが、暗く長いトンネルの先にようやくほのかな光が差し込んできたのは確かなようだ。

報酬を透明に

 今回の臨時総会では新しい戦略方針が発表され、4人の新しい理事の選出も行われた。取締役会会長を務めるペーター・クーラー氏はあいさつの中で、第3四半期には小額ながら黒字が見込まれ、2009年は全体的に利益のある年になるだろうと発表した。

「UBSはこの数週間の波乱をかなりうまくくぐり抜けてきた。しかし、修繕作業はまだ終了していない。UBSの評価をできるだけ早く修復しなければならない。われわれは再び周囲から認められる業界のリーダーになろうとしているところだ」

 そのためにボーナスなどの報酬システムを金融産業の実情に適応させる。その準備はすでに始まっているという。クーラー氏はまた、まだ残っている不良債権を積極的に処理する意向だ。

 会場はこれまでの総会に比べて敵意が薄れた雰囲気だったが、高い給与やボーナスは相変わらず批判の的となった。これに対しクーラー氏は、
「この先、ボーナスの額は各部門の財務成績によって変わる。透明なシステムを導入し、持続的な利益を確保できるマネジメントに報酬を与えるようにする」
 と説明した。第3四半期の最終決算は11月4日に発表される予定だ。
 
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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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