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UBS 罰金をかわす

袋小路からは抜け出せそうだが、UBSに対する批判はまだ続く Keystone

8月1日に発行されたスイスの日曜新聞「NZZ・アム・ゾンターク ( NZZ am Sonntag ) 」紙および「ゾンタークス・ツァイトゥング ( Sonntagszeitung ) 」紙が信頼筋から得た情報によると、UBSはアメリカとの租税争いにおいて罰金を支払わなくてもよいことになるという。

しかし、UBSはおよそ5000人分のアメリカの顧客情報を米国内歳入庁 ( IRS ) に開示しなければならないとみられている。連邦司法警察省 ( EJPD/DFJP ) および連邦外務省 ( EDA/DFAE ) の広報官は、両新聞の報道に関してはノーコメントだ。

アメリカでは罰金を免れる

 数カ月前からスイスとアメリカの間でくすぶり続けている顧客情報とスイスの銀行守秘義務をめぐる争いは7月31日に決着し、両者とも裁判外で紛争を解決することに合意した。合意の詳細は不明、あるいはまだ練りあがっていないという。

 スイスのエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法相は日曜新聞「ゾンターク ( Sonntag ) 」紙のインタビューで、
「スイスにとって重要な意味を持つ詳細については、まだこれから話し合わなければならない」
 と、交渉がこれからまだ水泡に帰す可能性があるという懸念を示唆した。しかし同時に、時間はあまり残されていないが、8月7日までに和解に達するだろうと肯定的な見方をしている。和解が得られなかった場合は、8月10日にマイアミでUBSに対する民事裁判が開始される予定だ。

 スイス側の交渉代表人であるミヒャエル・アンビュール次官は「NZZアム・ゾンターク」紙で
「この基本合意により、スイスの法秩序は維持される。アメリカからの職務共助の依頼は、現在の協定を基本としたものとなるはず」 
 と述べている。同紙はまた、別の情報源をもとに、およそ5000人分の顧客情報の開示を求められることになりそうだと報道した。

 また、ロイター通信社がアメリカ連邦政府筋から得た情報によると、今回の交渉はUBSに対する罰金が中心となっていたわけではないという。今年2月、UBSは別の租税訴訟を示談に持ち込むために7億8000万ドル ( 約740億円 ) を支払った。UBSは明日4日、第2四半期の業績を発表する予定だ。アナリストはおよそ11億フラン ( 約973億円 ) の損失を予想している。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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