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UBS 約1200億円の赤字

UBSは第2四半期も赤字。だが、前四半期よりは減少した。 Pixsil

スイス最大の銀行「UBS」は依然として顧客離れに苦しんでおり、ほかの国際的な銀行とは異なって活発さを増している資本市場に乗り切れずにいる。

8月4日に行われた第2四半期の業績発表によると、損失は第1四半期の約20億フラン ( 約1800億円 ) から約14億フラン ( 約1200億円 ) まで減少した。2008年1年間の赤字は、UBS史上最悪の約210億フラン ( 約1兆9000億円 ) だった。

持続的な回復はまだ見込めず

 UBSはもともと第2四半期も赤字になると予想しており、アナリストはおよそ11億フラン ( 約1000億円 ) のマイナスを見込んでいた。今回の損失に最も大きな影響を与えたのは債務の再評価によるもので、今四半期に初めて赤字となり、12億フラン ( 約1100億円 ) のマイナスを計上した。それに加えて、銀行の再構築費用とのれん代の再評価による損失も10億フラン ( 約900億円 ) 近くに上っている。

 「ウェルスマネジメント&スイスバンク ( Wealth Management & Swiss Bank ) 」部門では、アメリカで行われている租税訴訟の影響で実質165億フラン ( 約1兆5000億円 ) の流出を計上した。第1四半期の損失は234億フラン ( 約2兆1000億円 ) 。アナリストは120億フラン ( 約1兆円 ) を見込んでいた。

 「ウェルスマネジメント・アメリカズ ( Wealth Management Americas ) 」部門では前四半期に162億フラン ( 約1兆5000億円 ) の黒字を計上したが、今四半期は実質58億フラン ( 約5200億円 ) の流出を余儀なくされた。機関投資家を対象としたビジネスでは、流出が前四半期の77億フラン ( 約7000億円 ) から171億フラン ( 約1兆5000億円 ) に膨れ上がった。

 中核的自己資本比率は第1四半期末の10.5%から13.2%に上昇。投資部門の税引前損失は31億6000万フラン ( 約2800億円 ) から18億5000万フラン ( 約1660億円 ) に縮小した。

 UBSはこれからの見通しについて慎重な姿勢を見せており、持続的な回復はまだ見込めないとみている。コミュニケによると
「ウェルスマネジメントの顧客は再び活発になっており、リスクの高い投資が増加する傾向にある。投資部門では現在、株式市場で観察されているポジティブな活力が株式部門と投資部門の改善に向けた良い下地を作っている」
 
 また、融資部門に関しては
「クレジット市場の発展も悪くないが、わが社では債券関連に対する資金分配を緊縮しており、この領域の再建ではリスクに対し保守的な経営方針を取っている」
 と報告している。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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