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WHOが最後に残った北京への渡航自粛勧告を解除

WHOは「SARSとの戦いは終わりに近づいた」と発表。 Keystone

世界保健機関(WHO)は24日付けで新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大防止のため、4月23日に出していた中国、北京へ渡航自粛勧告(渡航延期勧告)を解除すると発表。さらに、WHOは新たな感染が出ずに20日間の潜伏期間が過ぎたことから北京を感染指定地域からも外した。これにより、世界で残る感染指定地域は、台湾とカナダのトロントだけとなった。

WHO、ブルントラント事務局長は「北京は最後の渡航自粛勧告に指定されていた地域であり、このニュースは全世界のSARSに対する闘いでの大きな前進を示している」と声明で発表した。

残る感染地域

 WHOは23日に香港も感染地域リストから外しているが、WHO、ヘイマン感染症対策部長は「人口密度が高く、発生源の中国と国境を接している香港は最も厳しい感染を被った。この香港での制圧成功は世界中が新型肺炎の脅威から逃れられたということだ」と述べた。

 残る感染指定地域はカナダのトロントが「重度」、台湾が「中度」に指定されている。(24日付け)カナダの最後の新型肺炎患者が報告されたのは6月20日、台湾での新たな感染者隔離が15日(報告は19日)に行われており、これらの地域がリストから外されるには20日間、待たねばならない。

 中国は最後に新型肺炎感染者が隔離されたのが5月29日で、以後の報告も幾つかあったのものの、いずれもSARSでないことが確認されたため解除となった。なお、WHO、イアン・シンプソン広報官はこの決定について「WHOは一切の政治的圧力を受けていない」と語った。同広報官は今後の対応については「まだ、新型肺炎が季節的なものどうかはっきりしないので警戒体制を維持してなければならない」と述べた。

世界SARS状況

 23日のWHO報告によると世界の新たな感染者は2人(カナダが1人、米国1人)出ており、これまでの感染者数は8459人、死亡者は805人となっている。死亡患者がもっとも多かったのは中国の347人、続いて香港の296人、台湾の84人。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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