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WHO 鳥インフルエンザワクチン開発に乗り出す

韓国で鳥インフルエンザに感染した鳥の処分。 Keystone

世界保健機関(WHO、本部:ジュネーブ)は20日、ベトナムで高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に人が感染し、死者が出ている事態に警戒態勢として人から人に移る、新型インフルエンザ出現を想定したワクチン開発に乗り出したと発表。

現在のところ、鳥インフルエンザの感染が確認されているのは、いずれもベトナムで5人。WHOは人から人への感染を可能にするウイルスの異変はまだ起きていないと見ている。

ワクチン開発

 WHOの発表によると、ワクチン開発に必要なウイルスの選定がWHOのグローバル・インフルエンザ・ネットワーク研究所で始められた。このウイルス原型は4週間ぐらいでワクチン製造会社に提供できる予定。しかし、ワクチン株が短期間にできても、ワクチンが人間に対応できるようになるには予防効果や安全性の確認などが必要でまだ時間がかかりそうだ。

5人の感染ケース

 WHOの報道官によると、これまで鳥インフルエンザのウイルスが人に確認されたケースはベトナムで5人、患者は全員死亡した。5人のうち、4人が子供でいずれのケースも感染した鳥や鳥小屋の近くに住んでいたことから鳥から人への感染と見られている。人から人への感染ケースの報告はないが、鳥のウイルスが人間に移る経緯については感染した鳥の糞などが風に舞って、人間が吸い込んだり、目や鼻から感染するという。

鳥インフルエンザ

 鳥インフルエンザが初めて確認されたのは100年前、イタリアでだった。人間への感染が初めて起こったのは1997年、香港でH5N1型ウイルスが18人に感染し、6人の死亡者が出た。日本からの報道によると、山口県で発生した高病原性鳥インフルエンザから検出されたウイルスはベトナム、韓国で現在も流行中のウイルスと同じ型の「H5N1型」である。  

 WHOによると鳥インフルエンザには15種あり、中でも「H5N1」型が最も危険で、過去2回にわたって人間に感染し、症状が重かったこと、ウイルスが変異しやすいことだという。このため、「人への感染が広がり続けると新型インフルエンザウイルスが出現し世界的な感染も起こりうる」として各国に強く注意を呼びかけている。


スイス国際放送、 屋山明乃(ややまあけの)

– 鳥インフルエンザ「H5N1」の人への感染がWHOの研究所で確認されたケースは5人。いずれも死亡した。
– WHOはこれまでのところ、人から人への感染はないと見ている。
– なお、人が鶏肉や卵を食べて鳥インフルエンザに感染した例もない。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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