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オピニオン


若者の国レベルでの政治参加を実現、「青年連邦議会」をスイスに



Jonas Hirschi、スイス青年議会連絡協議会(DSJ)




今年の春に開かれたスイス青年議会連絡協議会の総会では、国レベルの青年議会の設立を目指すコンセプトを作成することが決定された (Colin Bieri)

今年の春に開かれたスイス青年議会連絡協議会の総会では、国レベルの青年議会の設立を目指すコンセプトを作成することが決定された

(Colin Bieri)

スイスには約66の地方自治体や州に「青年議会」がある。形態はさまざまだが、共通しているのは「若者が、若者のために、若者の要望や政治的テーマに取り組む」という点だ。青年議会は政治の流れの中に根を下ろし、若者に広く政治参加の機会を提供している。だが連邦レベルでは、こうした政治体験の場がまだ制度として存在しない。スイス青年議会連絡協議会(DSJ)ではこの状況を改めようと、「青年連邦議会」の設立を目指している。

Jonas Hirschi

 

 直接民主主義や国民皆兵制を掲げているスイスのような国では特に、将来の政治家を育てる体制が必要だ。一部の自治体や州に設けられている青年議会は、毎年平均6カ所で新設されるなど好評を博している。州レベルの青年議会はまもなくすべての州に普及するだろう。青年議会とは、若者たちが政治的活動あるいはプロジェクトの企画・実行を通して、若者のために行動を起こす場だ。

 活動の成功例は数多い。例えば、ベルン市郊外のケーニッツでは、青年議会の働きかけで町とベルン市を結ぶ夜間バスの導入が実現。ヴォー州でも教育法の改正に青年議会が提案した内容が盛り込まれた。ベルン州のフラウブルンネン地方では、地元の青年議会の尽力で冬のあいだ体育館が若者に夜間開放されることになった。このように、青年議会には若者の生活環境を実際に改善する力がある。しかしそのためには、たとえ限られた枠内であっても拘束力のある権限を持つことが必要だ。

連邦レベルにおける若者の政治参加

 連邦レベルでも、若者の政治参加を推進するプロジェクトや組織はすでにいくつかある。最もよく知られているのは「ユースセッション」だろう。これは毎年1回連邦議会議事堂で開かれる会合で、4日間にわたり200人の若者が国会議員さながらに政治上のテーマについて討論する。ここでまとめられた陳情は「大人の」議会に提出される。ただし拘束力は持たない。

 このほか、全国の中学生が民主主義のプロセスを首都ベルンで実地体験する「学校をベルンへ」プロジェクトや、若者をターゲットにDSJがウェブ上に立ち上げた投票推進プロジェクト「イージー・ヴォート」がある。連邦青少年問題委員会(EKKJ)など既存の機関も青年層の政治的発言力強化に取り組んでいるが、その強化プロセスに若者は直接起用されていない。このように、連邦レベルにおいては若者の政治的決定権や直接参加の機会が明らかに不足している。

欧州諸国の青年「国会」

他の欧州諸国には、すでに国レベルで活動する青年議会が存在している。スイス青年議会連絡協議会(DSJ)に所属しているリヒテンシュタインの青年評議会もその一つ。最も活発なのは英国の青年議会(ユースパーラメント)だ。民主的手法で選出されたメンバーが、政府へのマニフェスト提出や、政治家との共同ロビー活動、政治的要求に関するキャンペーン活動などを行っている。

その他の欧州諸国の青年議会は、スイスのユースセッションに似て拘束力のない討論の場だ。民主的な政治参加に関しては先駆者的役割を果たすスイスだが、青年層の政治参加についてはまだ改善すべき点が見られ、欧州内でも平均的な位置を占めるに過ぎない。

新しい形の政治参加を求めて

 DSJが若者の政治参加の機会や欧州諸国の関連組織について分析を行った結果、若者や青年組織に連邦レベルの青年議会を望む声があることが分かった。青年層は国レベルの政治に最大の関心を寄せているにもかかわらずこのレベルでの発言力が最も不足しているのだ。各種青年組織や政党の青年部、州の青年議会も独自にアンケートを行ったが、ここでもやはり、国レベルでの新しい形の政治参加が望まれている。

プロジェクトグループが発足

 このように明確な要望を踏まえDSJは、3通りのコンセプトを作成。新しく発足したプロジェクトグループに推奨すべき案の決定を、2016年の総会に委ねた。今年4月初めにルツェルンで開かれたその総会には、スイスとリヒテンシュタインから地方自治体および州の青年議会メンバー150人が参加した。結果的に、連邦レベルの青年議会という形の、まったく新しい受け皿の設立を目指すコンセプトが他の2案を大きく引き離して選ばれた。今後プロジェクトグループは数年後の青年連邦議会設立を目標に、数カ月にわたりコンセプトの詰めに取り組む。

本記事で表明された見解は筆者/組織のものであり、必ずしもスイスインフォの見解を反映するものではありません。


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(独語からの翻訳・フュレマン直美 編集・スイスインフォ)

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