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スイスの暗い歴史


スイス下院、「奴隷」にされた子供たちへの補償を可決




被害者への補償を求めたイニシアチブ(国民発議)を率いるギド・フルーリ氏は、議会での議論の様子を、連邦議事堂の廊下にあるモニターでみつめた (Keystone)

被害者への補償を求めたイニシアチブ(国民発議)を率いるギド・フルーリ氏は、議会での議論の様子を、連邦議事堂の廊下にあるモニターでみつめた

(Keystone)

スイス下院は27日、子供のときに国から強制労働をさせられていた被害者に補償金を支払う案を可決した。スイスでは1960年代頃まで、孤児や離婚家庭などの子供を中心に国が強制的に保護し、農家などに安い労働力として引き渡していた。

 被害者たちは、補償を求めたイニシアチブ(国民発議)を立ち上げている。下院は今回、政府が提出した同イニシアチブへの対案を可決した。

 イニシアチブでは、5億フラン(約560億円)の補償基金の設立が求められている。一方、政府の対案では、3億フランの補償基金を立ち上げ、1万2千人から1万5千人いるとされる被害者1人あたりに最大2万5千フランの慰謝料を基金から支払うことが提案されている。

 対案ではまた、被害者の精神的・肉体的苦痛を公式に認め、被害者がこの件に関する国の情報にアクセスできるようにし、被害の実態を調査する国の研究プログラムを設立することが提案されている。

 今後、上院が下院と同様に政府案を可決すれば、イニシアチブは撤回される予定。

虐げられた子供たち

 国は60年代頃まで、貧しい家庭の子供や離婚家庭の子供、または孤児を行政措置として強制的に保護していた。

 こうした子供たちは、国の斡旋で農家などに引き渡され強制労働をさせられたほか、薬物実験の被験者にされることもあった。里親から辱めを受けたり、虐待されたりしたほか、場合によっては避妊手術を受けさせられることもあった。

以下の年表は、スイスの児童養護制度をめぐる過去35年の重要な出来事をまとめている。

1981年 1974年の欧州人権条約の批准を受け、スイスはこれまで行ってきた行政収容、生殖の権利侵害(強制の避妊手術や堕胎)、養子縁組の強制、里親への強制的な引き渡しを停止。

1999年 議会は、避妊手術を強いられた被害者への補償を提案。

2009年 議会は、国が保護児童をいわゆる「教育施設」に収容したことは道徳的に間違いだったと認める案を提出。

2009~13年 移動展「Stolen Children(盗まれた幼少期)」ではスイス全国から集められた証言や写真など300点を展示。

2011年 被害者への救済を求めた議員発議が提出される。また、被害実態の歴史的検証や被害者への謝罪に関する質疑が議会で行われる。

2013年4月 ベルンで行われた公式行事で、シモネッタ・ソマルガ司法相が政府を代表して被害者に謝罪。

2014年3月 被害者への補償、研究プロジェクトの立ち上げ、および被害者が公式資料を閲覧できる権利に関する草案を議会が提出。同月、市民グループが被害者への補償を求めたイニシアチブを立ち上げ、成立に向けて署名集めを開始。

2014年7月 行政保護措置の被害状況を調べるための民間の委員会(Round Table)が補償基金を設立。被害者からの申請件数は650件。確認作業が行われた450件のうち400件に基金から補償金が支払われた。総額は300万フランで、被害者1人につき約8千フランが支払われた。

2014年12月 被害者への補償を求めたイニシアチブが有効署名11万筆とともに当局に提出される(必要署名数は10万筆)。このイニシアチブでは被害者のための5億フラン規模の補償基金の設立が求められている。

2015年12月 政府はイニシアチブの対案を議会に提出。同案では3億フラン規模の補償基金の設立が提案されている。

2016年4月27日 下院は政府の対案を可決。同案が上院でも可決されれば、被害者には2万から2万5千フランの補償金が支払われる見通し。


(英語からの翻訳&編集・鹿島田芙美), swissinfo.ch

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