スイスの視点を10言語で

スイスは外国人に不親切?

今回の調査からは、生活の質は高いが、社会に溶け込むのが難しいと感じる外国人がスイスでは多いことがわかった Keystone

世界中の外国人居住者に対して行われたインターネット調査で、スイスは安全で生活や教育の質が高い反面、物価がとても高く、外国人に対しては親切ではないことがわかった。

 世界最大規模の外国人居住者支援ネットワーク「InterNations外部リンク」が先月29日、1万4千人を対象に行った調査「外国人居住者の目から見た世界外部リンク」の結果を公表した。インターネット上で行われたこの調査では、外国人として住みやすい国をさまざまな観点から評価。調査は2016年2月18日~3月13日に行われた。

 スイスは67カ国中、31位。前年は14位、14年は4位だった。スイスと同様、前年から順位を大きく下げたマレーシア(21位から38位)、香港(26位から44位)、インドネシア(32位から52位)、アラブ首長国連邦(19位から40位)とともに、スイスは「落ちこぼれ組」となった。

 欧州諸国で最も順位が高かったのは8位のオーストリア。隣国のドイツは17位、フランスは41位だった。また経済的にも政治的にも不安定な状況が続いているイタリアは59位と、ワースト10入りする結果となった。

外国人に対して不親切なスイス

 スイスの順位を下げる要因の一つとなったのが、外国人に対する態度が冷たい点だ。「スイスでは四つの異なる言語や文化が共存するにも関わらず、残念なことに、新しくスイスに移住してくる外国人の多様性に対してあまり寛容ではない」と調査報告書には書かれている。また「回答者の36%が外国人居住者に対するスイスの態度を概して悪い、また17%が他国と比較して悪いと評価」し、その結果、評価項目の一つ、「親切さ」においてスイスは下から4番目だった。

 またスイスの短所として物価の高さ、言語の壁、気候や天候などもあげられた。

教育と雇用面でプラス評価

 一方でスイスの生活水準の高さ、経済・就労状況、安全性は高く評価された。また、子どもを持つ外国人居住者は、スイスの教育の質は世界的に見て良いとした。

 雇用面ではスイスは5位と、不安を感じる人が少ない。スイスでは年間所得9万7750~14万6600フラン(約1千25万~1千539万円)のグループに属す国民が29%と最も多く、外国人居住者の場合、12%が年間所得14万8千~19万7千のカテゴリーに属す。

日本は生活の質が高評価

 67カ国中、外国人として最も住みやすい国に選ばれたのは台湾。過去2年連続トップの座に就いたエクアドルを破っての1位となった。

 対する日本は29位。隣国の韓国は27位、中国は48位だった。分野別で日本は、生活の質において台湾とオーストリアに続く3位。その下位項目ではとりわけ交通の便利さ(6位)、治安の良さ(3位)、健康面など(4位)が評価された。

 一方、移住のしやすさが評価された分野では、日本は67位中55位と下位。この調査から、あまり親切ではない(29位)、歓迎されていない(54位)、友人を見つけにくい(55位)と感じる外国人が日本に多いことがわかった。また言語の壁については65位とワースト5だった。



(英語からの翻訳&編集・説田英香)

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