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コラム「国際的に見たスイスの民主主義」 民主主義への満足度 世界は低下、スイスは上昇

クロード・ロンシャン氏

スイスで自国の民主主義への満足度が最高記録に。クロード・ロンシャン氏はその理由の一つに「投票機会の多さ」を挙げる

(swissinfo.ch)

自国の民主主義への満足度は世界全体で低下している――。英ケンブリッジ大学が最近発表した調査結果は注目を集めた。

民主主義研究者のロベルト・フォア氏は、1995年から2019年を対象に、自由・公正な選挙が行われる全ての国と、最低限の民主主義が保証された全ての法治国家を調査した。

その結果をまとめた民主主義評価ランキングで、スイスはかなりの高評価を得た。「今回もか」と思う人もいるだろう。

なぜスイス人は自国の民主主義に満足しているのか:典型的な答え

「現在は最高記録となる約75%のスイス人が自国の民主主義に満足している」

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スイスは自国の民主主義への満足度で世界トップだ。それに加え満足度は世界の流れに反する形で上昇。現在は最高記録となる約75%のスイス人が自国の民主主義に満足している。

スイスは例外的な存在ではあるが、唯一ではない。具体的には北欧諸国の民主主義もスイスと似ている。こうした例外国には共通して合意型民主主義が敷かれている点は注目に値する。

これらの国では社会的対立が緩和できているため、政治的安定性が保たれ、経済成長が進みやすい。そしてそれが民主主義への満足度を押し上げている。

なぜスイス人は自国の民主主義に満足しているのか:新しい答え

ランキングから分かったのは、この制度が国民から幅広く受け入れられているということだ。制度の結果に国民が満足している場合、それは「アウトプット型の満足度」と言える。具体的には中間層、下層の国民が「制度の結果、日常生活に確かなメリットがある」と判断し、その制度を支持している場合を指す。 

コラム「国際的に見たスイスの民主主義」では、スイス政治を長年分析してきたロンシャン氏が、スイスの民主主義の関する出来事や制度の原則を詳しく論じる。

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むろん「インプット型の満足度」もある。国民全体に関わる決定が下されるとき、政治に積極的に関わる人は自分の意思をそこに反映させたいと考える。高学歴層は経済的利益よりも、個人が関与できる度合いの方を重視する傾向にある。

キーワード1:権力の分散

ベルン大学が昨年行った研究では「満足度の仕組み」と「スイスの満足度が際立って高い理由」が明らかにされた。研究の出発点では大統領制の民主主義が取り上げられた。この制度ではリーダー(大抵の場合は男性)が握る権力が強く、現在では米国、ブラジル、フランスが採用。だがこれらの国では民主主義への満足度が特に高いわけではない。

アドリアン・ファッター氏の研究チームは、これらの国には権力の分散が乏しい点をその理由に挙げる。権力の分散は議院制度、連立政権、国民投票、連邦制の四つの面から達成できるが、そのうち三つに関してスイスは世界で上位だ。民主主義への満足度を高める最初のキーワードは「権力の分散」と言える。

キーワード2:投票参加

スウェーデンでは昨年、「投票参加」の項目を含む別の民主主義評価ランキングが発表された。ここでもスイスが多くの項目で上位を占めた。

周知のとおり、スイスは直接民主制を敷く。世界ではこの制度を導入する国が増えている。

だが直接民主制のほかにも二つの点でスイスは高い評価を得ている。一つはローカルおよび地域型民主主義、もう一つは行政が市民活動家にオープンな点だ。ただこの二つはスイス国内ではあまり注目されていない。

スイスでこれらが見過ごされている理由は、民主主義への要求が留まるところを知らないからかもしれない。スイスには他国にないものが多いが、国際比較をしなければそれに気づきにくいのだろう。

スウェーデンのランキングから分かるように、民主主義は国レベル以外でも実践することが大事だ。地方レベルでも活発になれば、民主主義は強くなる。例えばスイスの基礎自治体で選ばれるのは市長や村長だけではない。基礎自治体の議会議員や参事会メンバーも全員、地方選挙で選ばれる。

さらにスイスでは国の意思決定を政党が単独で行うことはない。参加型民主主義では経済連盟、環境団体、さらには学術界や市民運動までもが多様な形で共同参画している。

スイスの欠点:機会は多いが投票率が低い

スイスの制度が批判される際、英経済紙エコノミストが毎年発表する「民主主義指標」がよく引き合いに出される。この民主主義評価ランキングは唯一、スイスの民主主義を「非常に良い」ではなく、単に「良い」と評価した。

主な理由は投票率の低さだ。スウェーデンのランキングでもこの点がスイスの民主主義の欠点として指摘されたが、投票機会の多さと比較して相対化された。投票機会が多いと、「この選挙で自分たちの声を主張しなければならない」との必要性が下がる。

スイスの民主主義のように投票機会が多いと、デメリットも生じる。投票参加者が分散してしまうのだ。 

「付け加えておくと、秩序ある世論作りに全ての人が何らかの形で参加している限り、投票機会の多様さは強みだ」

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私は約30年前、「スイスの国民投票では投票参加が選別的になるだろう」と先駆けて指摘した。現在の選挙および国民投票の投票率は平均約45%。だがいつも同じ人が1票を投じているわけではない。

有権者が選挙や国民投票に参加するのは、その案件が自分に関わるもので、自分にはその是非が判断できると思えるときだ。世界では過去4年間に1度は投票に参加したことのある有権者の割合は75%。スイスでも同じ期間に同じ割合の有権者が国民投票に1度は参加した。

付け加えておくと、秩序ある世論作りに全ての人が何らかの形で参加している限り、投票機会の多様さは強みだ。

ただ、スイスでは若者が投票参加を敬遠し、無関心と抗議の間で揺れ続けている点を忘れてはならない。

これには模範的なスイスの民主主義も対応に苦慮している。


(独語からの翻訳・鹿島田芙美), swissinfo.ch

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