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10代から国防の準備 チューリヒの少年射撃祭

チューリヒ市には二つのお祭りがある。春には1年の気候を占うゼクセロイテン。秋には少年射撃祭(ドイツ語でKnabenschiessen/クナーベンシーセン)。将来の軍人を養成するという実践的な目的がお祭りの始まりだった。

今年の射撃王は、17歳のシュテファン・バハマン君に決まった。将来大学では犯罪学を学ぼうと思っているチューリヒ市出身の高校生である。5000フランの高額な賞金をもらい、パレードでは市民から祝福を受ける。

参加するのは13歳から17歳までの少年少女。個人射撃と、学校のクラスメートなどによるグループ射撃がある。 
300メートルの距離から、実際にスイス軍隊で使われるライフル90で射撃する。黒い大きな円形が印刷されている的の真中に命中すると7点。5回の射撃で満点は35点。射撃王や射撃女王は満点を取った少年少女が最終日に再び挑戦して王様が決まる。 
今年は5000人以上の参加者の中から、男子5人、女子2人が満点を取るという接戦で、最終射撃で34点を取った17歳のシュテファン・バハマン君が射撃王となった。

広く受け入れられている少年の射撃

 ジェットコースターにお化け屋敷。風船売りに焼きとうもろこしの屋台。プラスチックのおもちゃを売る店の隣には、やまがい物のアクセサリーが黒布の上に並べて客を呼ぶ人が見える。そんな日本でも見られるようなお祭りのメインは、少年たちが腕を競い合う射撃大会である。

 少年射撃大会は1893年に始まり、第一、第二世界大戦中の中断を経て、今年は104回となる。以前は、少年だけが参加できた大会だが、1991年、スイス建国700周年を記念し少女も参加が許されるようになり、97年には初の射撃女王も誕生した。
「少年兵士を養成しているわけではない」
とお祭りに来た一市民。1962年にはヒッピーの暴動があり警察がこれを制止するいったハプニングがあり、1986年には社会民主党から阻止する動きがあったりもしたものの、少年、少女たちが射撃の腕を競うことに違和感を感じる人は少ない。

 大会で32点を獲得したマルコ・バディリャ君(17歳)は、3年後に兵役を迎える。
「目標をもって何かを達成するのがおもしろい。軍隊でも射撃隊に入れるようがんばる」
と意欲的。一方、フローリアン・ブフハルター君(15歳)は、
「射撃はコンピューターゲームより本格的だから好き。軍隊にはなるべく行きたくない。」
と現代っ子の一面を見せた。

青年射撃訓練は国防のため

 スイス射撃スポーツ協会では、8歳から射撃の訓練コースを提供している。空気銃から始まり、軍隊で実際に使われるライルで本格的に300メートルの距離から射撃する訓練までを受けることができる。青少年の射撃訓練は将来の兵隊を養成する目的があり、スイス人に限っている。
 同協会で青年射撃訓練に携わるパウル・サラテ氏は、
「将来の兵士を養成するのが目的。もっとも、訓練を受ける少年少女たちは、スポーツ感覚で、楽しんでいる」
と語った。

 国民皆兵のスイスでは、20歳になると男性はライフルを渡され、家に管理する義務がある。
「安全との使い方を教える講義を必ず受けるようになっており、安全管理も厳しい」
とサラテ氏。

 青少年射撃訓練では、17歳までは武器を家に持って帰ることはできないし、銃弾の管理も怠りないと、安全に関しては太鼓判を押した。 

賞金で自転車を買う

 7人の満点が出た今年は接戦だったが、最終決定戦で射撃王になったシュテファン・バハマン君(17歳)はチューリヒ市のギムナジウムに通う高校生。スポンサーになっている銀行から賞金の5000フラン(42万5千円)を手にした。
「賞金では自転車を買おうかと思っている。射撃はわくわくする」
と顔を赤らめて答えた。授賞式後はパレードで一般市民の祝福を受ける。お祭りが一段楽したら、明日の物理のテストの準備をするという。

 少年射撃訓練がお祭りと合体。実用主義的なスイス人の姿を垣間見る少年射撃祭の射撃王になって大喜びのシュテファン君が、スイスの国防を真剣に考えるのは、まだ時間がかかりそうだ。

スイス国際放送  佐藤夕美 (さとうゆうみ)

補足情報

20歳で21週間の兵学校へ行くのが義務

女子は任意

兵士はライフルを自己管理

兵役を終えるまで毎年1度、射撃訓練を行うのは義務

少年射撃大会では的にあたれば1点。
中心にあたって7点。
5回の射撃で満点が35点。

試し撃ちは認められないから厳しい。



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