第45回ローザンヌ国際バレエコンクール 情熱がはじけるローザンヌバレエ、30日からスタート 日本から13人参加

ローザンヌ国際バレエコンクール2016の準決勝で、クラシックのバリエーションを踊る男子ダンサー

ローザンヌ国際バレエコンクール2016の準決勝で、クラシックのバリエーションを踊る男子ダンサー

(photo:Gregory Batardon/Prix de Lausanne)

若手ダンサーの登竜門「第45回ローザンヌ国際バレエコンクール」が1月30日からスタートする。今年も最多の13人を送り込んだ日本。また過去11年間連続で入賞者を出しており、今年も入賞が大いに期待される。だが、ローザンヌの魅力は、賞の獲得に関係なく5日間のコーチでぐんぐん伸びていく若いダンサーの輝くような姿が見られることでもあろう。

 今年のコンクールには、ビデオ審査を通過した世界17カ国から計74人のダンサーが出場する。日本からの参加者13人に次いで多いのは、韓国とオーストラリアからの9人だ。

 今年に限らず、日本は過去2006年~16年の11年間に毎年、10人から20人の最多のダンサーを送り込み、さらに毎年入賞者も出してきた。通常は1人から2人の入賞者だが、2014年は1位、2位、6位を日本人が射止め、3人の入賞者を出すという快挙もあった。

(swissinfo.ch)

 理由は、クラシックの基礎をしっかりと教えるバレエスクールがたくさんあることや、このコンクールの創始者ブランシュバイグ夫妻の理念「アジアや南米などの生徒で、世界のバレエスクールやカンパニーに入るチャンスがない人のために奨学金を出しチャンスを与える」に、日本の生徒が置かれている状況がまだまだ当てはまるからだろう。実際日本には、Kバレエカンパニー以外のカンパニーはごくわずか。プロとして活躍していくには海外に出ざるを得ない。

 また、ヨーロッパからの参加者が少ないのは、欧州各国の都市にバレエスクールとカンパニーがあり、ローザンヌに来なくてもそこに直接入団する道が開けているということも一つの理由だろう。

学ぶ情熱と教える情熱

 このように、アジアや南米を中心に海外でプロになる道を探る生徒には、なるべく多く奨学金を渡したいところだが、スポンサーの数が限られている。そのため、ローザンヌでは準決勝で約70人から20人の決勝進出者を選び、さらに決勝でこの20人から7人の入賞者を選ぶ。

第44回 ローザンヌ国際バレエコンクール2016 ローザンヌバレエ、目と耳を全開しあらゆるものを吸収する場

ローザンヌ国際バレエコンクール2016が、2月1日に始まった。準決勝までの4日間、ダンサーたちは毎日ぎっしり詰まったスケジュールをこなしながら、多くのことを学んでいく。それは、新しい動きや自分が持ってきたバリエーションの修正だけではなく、舞台のスタッフとの話し合いやネットワークなど、社会性をも...

 だが、ローザンヌバレエの一番の魅力は勝ち負けではない。ここでの5日間にクラシック・コンテンポラリー両方の優れたコーチによる指導をどんどん吸収する若いダンサーの集中力・情熱、そして全身全霊で指導に当るコーチの情熱が相乗効果をなし、日々ぐんぐん成長していくダンサーの姿を見ることができ、その終結として決勝のステージがあるからだろう。

 例えば、ここ数年ローザンヌに来てボランティアで指導にあたってきた振付家のゴヨ・モンテロさんは、コーチすることを「自分が作ったコンテンポラリーは自分が指導したいから、作品の意味をきちんと伝えたいからここに来る。それに、僕の指導を全て吸収しようとする若い生徒のエネルギーは素晴らしい。僕のほうが彼らからたくさんのエネルギーをもらう」と語っている。

 これに対して、2016年の準決勝に進出し、モンテロさんのバリエーションを踊った岡野祐女さんは「モンテロさんのコーチに感動した。本当に充実した30分だった。ビデオを見て作った自分の振りとはかなり違っていて、たくさんのことを学んだ」と話している。

自分の振りを指導するゴヨ・モンテロさん(右)。彼の指導はいつも全身全霊で行われる

自分の振りを指導するゴヨ・モンテロさん(右)。彼の指導はいつも全身全霊で行われる

(photo:Gregory Batardon/Prix de Lausanne)

 2015年に審査委員長を務めたシンシア・ハーヴェイさんが、3位で入賞した伊藤充さん対してコメントした言葉も、ローザンヌが成長の場であることを言い当てている。「ミツルは毎日、びっくりするように伸びていった。昨日の準決勝より今日の決勝の舞台がさらに良かったように。ローザンヌでは、そうした伸びていく生徒の姿に感動する」

 そしてさらに付け加えるなら、ローザンヌはたとえ入賞者の7人の中に入らなくても、世界の有名な53のダンススクールとカンパニーからディレクターなどが来て参加者の練習の様子を見つめており、気に入ったダンサーを自分のスクールに招待することがよくある、いわばネットワークの場だということだ。

今年のコンテンポラリー

 ところで、今年の特徴の一つに、コンテンポラリーがすべてジョン・ノイマイヤーさんの振付けたバリエーションになっている点がある。

 「ノイマイヤー・バリエーション」は、2008年と2009年の2年間ローザンヌで使われた、ネオクラシック風の懐かしい作品だ。

 その後の7年間、日本でも2014年の1位入賞で有名になった二山治雄さんが踊ったリチャード・ウェロックさんの「ディエゴのためのソロ」やキャシー・マーストンさんやゴヨ・モンテロさんの作品など、さまざまな振付家の斬新な振りを、ローザンヌにくる生徒も先生も学んできた。

 こうしたコンテンポラリーでの経験を皆がつんだ後、若い世代が「ノイマイヤー・バリエーション」をどう踊っていくかという楽しみも、今回はある。

 ただ、ゴヨ・モンテロさんのコンテンポラリーについての次のような言葉は、いつの場合にも真実であるように思える。「コンテンポラリーを踊るには、まず動きに忠実であることだ。だが、単に動くのではなく、意味のある動きをすることが大切だ。すると内面性が出てきて美しいものになる」

第45回ローザンヌ国際バレエコンクール

同コンクールは、ブランシュバイグ夫妻によって1973年に創設された。15~18歳の若いダンサーを対象にした世界最高の国際バレエコンクールで、若いダンサーの登竜門の一つとも言われる。目的は伸びる才能を見いだし、プロになるための支援をすることにある。

今年は、2017年1月30日から2月4日まで開催。昨年秋のビデオ審査で、17カ国の計74人が選ばれた。このうち日本からは13人。過去11年間、日本はいつも最多の数のダンサーを送り込んできた。

例年通り今年も、二つの年齢グループ(15~16歳と17~18歳)に分かれて4日間コーチを受け、5日目の2月3日には参加者全員が舞台で踊り、決勝進出者20人が選ばれる。

最終日2月4日の決勝では、この20人から7人~8人の入賞者が選ばれる。全員同額の奨学金を得て、希望するダンススクールかカンパニーで1年間研修ができる。なお、同コンクールには、世界的に有名な53のダンススクールとカンパニーが協賛している。

今年の審査委員は9人で構成され、審査委員長は英国ロイヤル・バレエ団のディレクターケヴィン・オヘア氏。またベルギー王立 ロイヤル・フランダース・バレエ団のプリンシパル、斉藤亜紀さんも審査員の1人として参加する。

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