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もぐもぐスイス味 第4弾 社会科見学 -2- コーヒーに添えられるチョコの工場

テントウムシやミツバチ、子どもたちが大好きなチョコレート swissinfo.ch

スイスはチョコレート王国だ。2009年の統計によると、チョコレート産業の就労者数は約4300人。総生産量は年間約4万トン。その約4割が国内で消費されたという。

一人当たりで換算すると、その消費量は世界一。日本人の約5倍で、100グラムの板チョコで117枚となる。

 「ネスレ ( Nestlé )」、「リント ( Linth ) 」など大手メーカーのほかに、個人経営のショコラティエーまで数多くの場所でスイスチョコは生まれていく。このほどスイスインフォは、モモヨ隊員と1852年創業の歴史ある大手「マエストラーニ ( Maestrani ) 」の工場見学に出かけた。スイス政府観光局も勧める見学コースだ。

工場見学の人気

 マエストラーニの創立者、ジュゼッペ・マエストラーニはティチーノ州出身。ショコラティエーを目指し、当時は技術的にスイスより進んでいたイタリア、ロンバルディア地方へ留学した。工場を案内するモニカ・グラバさんによると、山型のチョコで知られる「トブレローネ ( Toblerone )」のトブラーや、いまやネスレの傘下になっている「カイエー ( Cailler ) 」の二人の創始者もイタリアで学んだという。

 ジュゼッペは、チョコ製造技術を取得した後、ルガノ近郊でチョコレートを販売し始めた。その息子アキノがルツェルンに店を開店したのがこの会社の始まりという。その後、ザンクトガレンへ進出し大規模な生産ラインを作っていく。

 現在本社があるのは、ザンクトガレン市から西寄りのフラヴィル市 ( Flawil ) で、郵便バスの停留所は社名と同じ「マエストラーニ」という。工場は常時一般公開されていて、訪問者は自由にガラス張りの回廊から見学できる。もちろん、ガイド付きの見学コースも用意されている。今日の案内役のグラバさんは、マルチリンガルな8人のガイドの1人だ。三々五々集まって来た見学希望者は、5人家族、母親に連れられた子どもたちのほか、若い女性グループと最終的には30人ほどに膨れ上がった。ガイド付きの見学には、毎年およそ2万人が訪れるという。

 広報担当のマルクス・ヴィリダ氏によると、工場見学の希望者が多いため、2000年に新築した工場には見学通路を設けた。見学料金は1人5フラン ( 約430円 ) 。しかし、それは
「経費のほんの一部を援助してもらうという意味です。ガイドの人件費や設備費など膨大な経費がかかりますが、消費者にわたしたちの製品を知ってもらい、ファンになってもらうことが目的です」

 チョコレートを温めウサギの型に流し込む「手作りコース」もあったが、あまりの人気にインフラが追い付かないことで、休講中だ。

・・・でモモヨ隊員は

 このチョコレート、どこで売ってましたっけ? 主力製品の「ミノール ( Minor )も「ムンツ ( Muntz )」もどこかで見たことがあるけど、どこだか分からない。そうだガソリンスタンドとかスポーツセンターのレストランとかで見たことあるぞ。

 見学コースの映画の前にもらったチョコを食べてみると…、普通のスイスのチョコとちがう 随分とマイルドで不思議な味。カカオ、あまり使っていないかも…。ガイドさんの説明によると、甘味は砂糖大根の砂糖を使っているそうだ。ふーん、スイスのチョコはみんなそうなのかしらん。

 いよいよ工場の建物に足を踏み入れる。と圧倒的なチョコレートの匂い匂い匂い。隊長…、
ここの従業員さんどのくらいチョコ食べるんでしょうか。普通の人より特に多いとか少ないとかありそうですね。働いているときはここのチョコでも家ではこだわりの別のチョコブランドを頂くとか。「きっと少ないと思うわ」と既に弱気な隊長。隊長、チョコでも食べて気をしっかり保って下さい。これからが本番らしいです。

 第2の部屋に案内されると眼下に工場が一目で見渡せる。折りしもバナナの形のマシュマロが列になってそろそろ動いているところ。ご試食どうぞと出してくれたミニサイズのバナナチョコ。バナナ味のマシュマロをチョココーティングしたもの。かじるとチョコが壊れて中身がびょーんと伸びてなんとも不思議なお菓子。ターゲットはズバリ子どもと見る。
「中国からのお客さんは、これがとっても好きなんですよ」
にっこりと言われて、ええっと東洋人だから好きだって期待されているのかな。 ええ、その、伸びるところが美味しいですよね、モゴモゴ。とお返事する。

 「有機のチョコも作っているんですよ」と、カギのかかった戸棚から取り出した試食用チョコを頂く。さすが有機チョコ、奥深い味わいが…。申し訳ないけど全くありませんでした。ね、隊長。「ほんと…だわね」

 さらに進み行くと極小サイズのチョコバーの生産ラインが見えてくる。目にもとまらぬ速さでチビチョコが弾丸のように飛び出してくる。

 あ、これ知っている。よくコーヒーのオマケで付いてくるやつ。コーヒーと頂くとおいしいの。
見ているとそのまま、遥かなる外国まで点々と続いていくチョコバーの道が目に浮かんでくるモモヨであった。

胸一杯度 ★★★★★
一生かけても食べきれない度 ★★★★★

創業1852年
2008年売上 約5000万フラン ( 約44億円 )
全世界へ輸出しており、その割合は売上の36%を占める。
従業員数 約150人
代表的商品 マエストラーニ ( Maestrani ) 、「ミノール ( Minor ) 」「ムンツ ( Muntz )」。そのほか、有機チョコは30年前から製造。フェアトレードブランドは2008年から。

連邦鉄道フラヴィル駅 ( Flawil ) から、バスで約5分。マエストラーニ( Maestrani )で下車。
毎週水曜日14時からはガイド付き。事前に予約が必要。
料金 1人5フラン ( 約430円 ) 。6歳以下の子どもは無料。
所要時間 約1時間半

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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