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シェンゲン・ダブリン協定が今日発効

監視員が車で移動しながらパトロールする国境も Keystone

今日12月12日、欧州連合 ( EU ) との間で締結されたシェンゲン・ダブリン協定が発効となった。これによって、警察および難民問題に関するEUとの協力はこれまでになく緊密となる。

だが、スイスの国境の様子は昨日までとあまり変わらない。スイスはEUの関税同盟に加盟していないため、国境での商品検査はこれまで通り続けられる。

税関検査はこれまで通り

 連邦司法警察省司法局 ( BJ/L’OFJ ) のキャサリン・クロプフ氏によると、シェンゲン加盟によって、例えばフランスから大量の赤ワインを持ち込めるようになったわけではない。税関検査はこれまで通り続けられる。

 一方、国境での組織だった旅券およびIDカードの検査は今日で廃止となった。これに代わるのは、車による国境一帯のパトロールや国際列車内の検査などだ。しかし、これらの検査も特に目新しいものではなく、スイスではシェンゲン加盟前からすでに実施されていた。

 今回の協定発効で大幅な変化がもたらされるのは警察だ。スイス連邦警察は、シェンゲン加盟国の警察データーバンク「SIS」を利用できることになった。スイスは8月半ばから暫定的にSISの利用を認められており、連邦司法警察省 ( EJPD/DFJP ) によるとこれまでの感触は「非常にポジティブ」だということだ。データーバンクと照会して情報が一致するケースは、警察と国境税関吏を合わせて1日平均30件に上るという。

ダブリン協定も発効

 12月12日には難民問題に関するダブリン協定も発効する。この取り決めによると、難民はたいていの場合、最初に入国したダブリン加盟国でしか難民認定申請を提出することができない。このような制度は事務の簡素化を促進するため、スイスのようにダブリン加盟国に囲まれた国には好都合だ。

 この先スイスは、シェンゲン協定とダブリン協定に関係する領域でEUが決議する新しい規則を導入する義務を負う。一方、4年前からEUがシェンゲン・ダブリン協定に関する新しい法律を取り決めるときには協議に参加できることになった。

 連邦司法警察省は「議決には通例、合意が必要であるため、このような決議に参与する権利があることはとても重要だ」と満足な様子だ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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