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スイスにおける中華食材の安全性

中国食品はスイスでは漢方に対する良いイメージが伴い、その安全性を疑うことに欠けるのかもしれない ( 写真は文章の内容とは関係がありません) Keystone

一部の中国産食品や化粧品などの安全性について、スイスでもさまざまなメディアを通し、主に現地特派員の報告で知られるようになった。

発端となったのは、南米で中国製の歯磨き粉の毒による死亡事件である。これら中国製食品の安全性に対するスイスでの認識はどれほど高いのか。

 6月30日、中国国家品質監督検査検疫総局がその安全性に問題があるとして輸出を禁止した食品輸出業者のブラックリストを発表した。その後リストは更新され、現在のところ52社がインターネットで公表されている。

スイスではあまり問題ないとする政府

 中国政府が違法企業として公表した企業リストの中で最も多いのは米国向けで、次が日本向けだったが、1社は欧州連合向けに餅菓子を輸出する会社だった。理由は、検査を違法にすり抜けたためという。該当する輸出業者について、また、この社の扱う製品がスイスで市販されているかどうかについては、スイスにある複数の中国食品販売者に尋ねたが、分からなかった。

 食品の安全性を管理する連邦内務省の保健局 ( BAG/OFSP ) のマリエッテ・シャイデッガー広報官は、スイスで中国製食品の質が最近、問題になったことはないという。中国政府が公表したブラックリストについては知らなかった。「検査は無作為抽出検査で行います。世界自由貿易機関 ( WTO ) の規定もあり、特定の国の商品を特別集中して検査することはありません」と語った。

 関税局 ( Oberzolldirektion ) の通関手続き課の担当官も、南米で起こった歯磨き粉による死亡事件には注目しているが、スイスで最近、中国食品が問題になったとことはないという。しかし「欧州連合を通って輸入された食品でも、検査は無作為にされます。メディアなどで取り上げられた場合は、連邦保健局と協力し集中検査を行うかどうか判断することになります」と答えた。実際は、無作為抽出にもさじ加減がある。

 市販の消費財の質をチェックし公表する雑誌サルド ( Saldo ) は、6月27日号でテイクアウトの寿司に含まれるバクテリアのチェックをし発表した。しかし、中国食品を扱ったことはない。また今のところその予定もないとのことだ。現在のところスイスでは、中国食品の安全性について、特に問題があるという認識はあまりないようである。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

<スイスと中国の経済関係>
アジア諸国の中では日本に次いで第2番目に重要な貿易パートナーである。
スイスから中国への輸出額
1990年4億1500万フラン ( 約415億円 )
2005年35億フラン ( 約3500億円 )
主要品目は機械、化学薬品、時計
中国からスイスへの輸出額
1990年4億1800万フラン ( 約415億円 )
2005年34億フラン ( 約3400億円 )
中国からスイスへの食品・嗜好品の輸入額
2006年6066万フラン ( 約60億円 )
2005年4190万フラン ( 約42億円 )
スイスから中国への直接投資およそ50億フラン ( 約5000億円 ) ( 2005年 )
中国に進出しているスイス企業は約300社
中国に住むスイス人約2500人

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