スイスの視点を10言語で

チューリヒ市では3人に1人が外国人

高度な金融知識を必要とする職場にドイツ人が次々と入ってきている Keystone

最近発表された統計によると、チューリヒ市民の3人に1人が外国人だ。30年前までは5人に1人だった。

スイスで最大の都市であり金融の中心でもあるチューリヒ市。近年、高い学歴や技術を持つ労働者が求められたため、ドイツ人がイタリア人を抜いてトップとなった。

 チューリヒ市に住む外国人の出身は165カ国、11万892人にのぼる。過去10年で10%も増え、市の人口の30.2%を占める。最も多いのはドイツ人で1万9309人、1995年に比べて倍増した。反対に90年代半ばに2万人以上と最も大きな比率を占めていたイタリア人は、2005年では1万4241人に減った。

スイス人は市外へ

 一方、チューリヒの市内に住むスイス人は近年、減少傾向にある。チューリヒ市に住む外国人が最も多かったのは第一次世界大戦が勃発した頃で、比率は35%だった。第二次世界大戦の頃になるとこの割合は大幅に減少して、10%を切った。しかし、1950年代からこの割合はずっと増加してきた。

 スイスの人口統計を分析する「移民・人口調査スイス・フォーラム」のマルコ・ペコラロ氏によると、チューリヒ市はスイスで最大規模の雇用市場だ。

 「スイスの給与や生活レベルは他国と比べても高い方ですから、スイスに住みたいとかスイスで働きたいと多くの人が外国からやってきても不思議ではありません。1960年代には安い労働力が求められていたので、イタリア移民が多くやってきました。しかし、1990年代には、特に金融市場で高い技術を持った労働力の需要が伸びました」

住む理由は多岐に渡る

 ペコラロ氏は語る。「最近ではイタリア人も高い技術を持った人が多くなってきたので、最盛期ほどではないでしょうが、またイタリア移民が増加すると予想しています。一方、チューリヒ市はドイツ語圏のため、ドイツ人が有利なのでしょう」。ドイツ人はスイスで働く外国人の11.3%を占めた ( 2005年 ) という統計もある。

 チューリヒ市に外国人が住む理由は多岐に渡る。働いている人、学校に通っている人、研修を受けている人、政治的難民として逃げてきている人、そして、移民の子供としてここで生まれた人々。彼らはすでに第2世代、第3世代になっている。

 また、ペコラロ氏は、外国人の増加の背景には、2004年にスイスがEU加盟国の労働者を受け入れたことも関係していると見ている。

swissinfo、マシュー・アレン 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳

スイスの人口は740万人。
チューリヒ市に住む外国人は11万892人、市の人口の30.2%を占める(2005年)。
スイスで働く外国人は82万9000人(2005年)。
外国で働くスイス人は63万4216人(2005年)。

‐ドイツ人とイタリア人に続いて多いのが、セルビア・モンテネグロ人(1万3169人)、ポルトガル人(7553人)、スペイン人(5360人)、トルコ人(5047人)。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部