スイス連邦内務省保健局は2日、12月1日から医薬品288品目で価格が平均で18.8%値下がりすると発表した。家計に1億フラン(約113億円)の貯蓄効果をもたらすと見込まれる。
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは高価格の医薬品が問題になっている。
例えば鎮痛剤のダファルガン(パラセタモール)やASSカルディオ(アスピリン)や小児用解熱剤ベセタモールなどの価格が下がる。一部は3割値下がりし、高血圧の治療に使われる利尿薬アルドラクトンは半額になる。
保健局によると、外国の類似薬や他の医薬品に比べ「経済的に持続可能」な価格の医薬品255品の値段は変わらない。
また、後発医薬品(ジェネリック)や複数の企業が並行販売する「コ・マーケティング医薬品」、バイオ後続品(原製品とほぼ同じ後発薬)を調査したところ、237品のうち134品で価格引下げ余地があると判明した。
医薬品価格の引き下げは昨年末に続き2回目。昨年の値下げによる節約効果は350品超で総額2億2500万フランにのぼり、当初見積もった1億9千万フランを上回った。
医薬品の値下げを求める声
スイスでは、医薬品価格について大きな議論が起きている。政府は9月、スイスの医療費の増加を食い止める政策の一つとして、ジェネリック医薬品の価格を上限にする案を発表した。
医療保険の統括団体サンテスイスが今春発表した調査は、スイスではジェネリック医薬品の生産に他の欧州諸国の2倍の費用がかかると明らかにした。特許を取得した薬は他国より9%高い。
価格調査官や消費者団体、医療保険団体などは、何年も前から医薬品価格の引き下げを求めている。
続きを読む
おすすめの記事
求む!医薬品犯罪調査のプロ
このコンテンツが公開されたのは、
サイバー犯罪、過激派の運動、恐喝、脅迫、贈収賄の対策に関わったことはあるだろうか?答えがイエスなら、その経験を買われてスイスの製薬業界から仕事のオファーが来るかもしれない。
スイスの製薬業界が探しているのは、スーパー警察官でもなければボディガードでもなく、テロ対策専門家でもない。不正に利益をかすめ取っている偽造医薬品撲滅の助けとなる人材だ。例えばスイスの製薬大手ノバルティスは、情報アナリストと、「医薬品犯罪の調査を行い、偽造業者と違法取引業者を裁判にかけられる状況を作り出す」といった職務を担う、中国拠点のグローバルセキュリティー地域統括責任者を募集している。
別のスイス製薬大手のロシュも、「不正調査および法医学検査を実施し、チームのリーダーを務める」調査員および内部調査マネージャーの募集広告を出し、犯罪調査のプロを探している。
もっと読む 求む!医薬品犯罪調査のプロ
おすすめの記事
伝統医薬の輸入に厳しい規則緩和を求める声も
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ中心部から電車で20分の場所にある、人口2万5千人の町ヴェッツィコン外部リンク。駅と教会、そしていくつかの店やレストランがあるスイスの一般的な町だが、チベット医学の製薬会社パドマ(Padma)外部リンクがある…
もっと読む 伝統医薬の輸入に厳しい規則緩和を求める声も
おすすめの記事
スイスでホメオパシーに保険適用 科学より国民の意思が尊重された結果か?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは今年3月、ホメオパシーなど一部の補完代替医療に対して、健康保険の分野で従来医療と同等の扱いを認めることが決定された。これは、2009年の国民投票で補完代替医療の保険適用案が支持されたのを受けてのことだ。世界の潮流に逆行するかのようなこの決定は、科学よりも患者の意向が尊重された結果なのだろうか。
もっと読む スイスでホメオパシーに保険適用 科学より国民の意思が尊重された結果か?
おすすめの記事
蘇る古代の薬草 がん治療に効果
このコンテンツが公開されたのは、
伝統的にクリスマスに飾られるヤドリギ。しかし、セイヨウヤドリギにはもっと実用的な用途がある。がんの治療薬だ。
もっと読む 蘇る古代の薬草 がん治療に効果
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。