湾岸諸国でジュネーブ・ブーム?
ジュネーブを訪れるアラブ人観光客が急増している。元々ジュネーブは湾岸諸国の大富豪に人気の保養地だったが、原油価格の高騰とスイスフラン安で一般の人々も来るようになった。(写真;ジュネーブに長期滞在中のアラブ首長国連邦のシェイヒ・ザイエド大統領)
ジュネーブを訪れるアラブ人観光客が急増している。元々ジュネーブは湾岸諸国の大富豪に人気の保養地だったが、原油価格の高騰とスイスフラン安で一般の人々も来るようになった。(写真;ジュネーブに長期滞在中のアラブ首長国連邦のシェイヒ・ザイエド大統領)
ジュネーブ観光局が発表した数字によると、今年上半期の中東からの観光客は前年比57%増で、宿泊数にして10、000泊増えた計算になる。この人たちのほぼ全員が、5つ星ホテルに宿泊し、他国からの観光客よりも長く滞在する。この人達はジュネーブの全外国人観光客のわずか5%にすぎないが、他の追随を許さない圧倒的な購買力を誇る。
通常、アラブ人観光客は7月と8月に集中するが、今年は6月までの統計で、この驚くべき結果が出た。が、ジュネーブ観光局のフランソワ・ブリアン局長は、統計に惑わされず年末まで注意深く見守りたいとしている。
中東からの観光客が急増した背景には、原油価格の急騰、スイスフラン安などの経済的理由が上げられる。実際、ミドルクラスの観光客が増えている。したがって、原油価格が上がる程、湾岸からジュネーブに来る観光客が増えると見ていいと、ブリアン局長はswissinfoに語った。
が、ブームの原因はこれだけではない。アラブ首長国連邦のシェイヒ・ザイエド大統領は、健康上の理由により、恒例のジュネーブ旅行の日程を繰り上げ、5月下旬から6月半ばまで6週間、側近を引き連れ350室を占有しジュネーブに滞在した。大統領一行が滞在したIntercontinental Hotelのヘルベルト・ショット・マネージャーは、上半期のブームはシェイヒ・ザイエド大統領の滞在が例年より繰り上げられた事に因るところが大きく、今年後半の動向はあまり楽観視するべきではないと言う。
1950年代から60年代にかけて、アラブの王族がジュネーブにショッピング、療養、保養などの目的で滞在するようになった。70年代の石油危機以来、新興財閥がやって来るようになった。その後王族らは、南仏やスペインに滞在するようになり、大富豪らもそれにならった。
が、ジュネーブはいつでも高貴なアラブ人にとって特別な場所だ。ジュネーブは政治的に中立で安全だ。また、彼等の多くはジュネーブに預金がある。彼等がエスコートなしで街を歩けるのは、ジュネーブだ。
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