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イスラエル スイスの経済制裁に懸念

実現性うすい対イスラエル貿易停止 swissinfo.ch

イスラエルのパレスチナ自治区軍事侵攻に抗議するスイス政府が対イスラエル経済制裁を検討中と報道されたことに対し、ベルンのイスラエル大使館は両国の友好関係上不適切だとして懸念を表明した。

駐瑞イスラエル大使館のヨッシ・アッカーマン経済官によると、スイスとEUが経済制裁を適用した場合のイスラエル経済への影響については、制裁の詳細に関する情報が足りないので査定はしていない。が、スイスがパレスチナ自治区内のユダヤ人入植地で製造・生産された製品のみ輸入禁止措置適用を検討中であるとしたことについて、アッカーマン経済官は、「made in Israle」製品が入植地産かどうか管理する方法がないとして、そのような限定適用は実施困難だと述べた。

イスラエルの懸念に対し、ジョセフ・ダイス外相は12日付けのスイス・ユダヤ新聞「Tachles」の取材に対し、政府は「制裁」という語を使用したことはないと述べた。また、ロバート・エキュ・スイス・イスラエル商工会議所仏語圏スイス代表は、「貿易停止はスイス経済にとって打撃となる。すぐに他国にとって変わられ、スイスはイスラエル市場を失う。」と述べた。スイス国立経済情勢事務局(SECO)によると、昨年のスイスからイスラエルへの輸出は12億スイスフラン、輸入は4億4800万スイスフランだった。輸出の約50%を占めるのは精製のためイスラエルに送られる宝石類、またイスラエルからの輸入は野菜・果物が多い。今年に入ってから、輸入は17.5%増えたが輸出は前年比60%に減少している。ルドルフ・クンメルSECOアフリカ中東部長によると、今年1月2月の輸出が減少した最大の要因は、貴金属の輸出が昨年の1億4300万スイスフランから500万スイスフラン以下にまで減少したことによる。

また、対イスラエル貿易停止は、欧州自由貿易連合(スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)とイスラエルが締結している自由貿易協定にも影響を及ぼすことになる。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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