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エジプトのクーデター 今後、エジプトはどこに向かうのか?



クーデターが起こる数時間前、カイロのタハリー広場を埋め尽くす人々

クーデターが起こる数時間前、カイロのタハリー広場を埋め尽くす人々

(Keystone)

わずか1年で権力の座から離れることになった、イスラム政治組織「ムスリム同胞団」のムハンマド・ムルシ前大統領。この前代未聞のクーデターをどう見るのか。ジュネーブの政治学者、ハスニ・アビディ氏に聞いた。

 古代文化遺産に溢れ、同時に21世紀の典型的な巨大都市を併せ持つエジプト。こうした都会で、まるで「リナリオ通り」というような整然としたクーデターが7月3日、起こった。

 アラブと地中海地域の研究センター(CERMAM)の所長を務めるアビディ氏に、このクーデターの意味、エジプトの今後を解説してもらった。

swissinfo.ch : エジプトで起きたクーデターは世界中にライブで報道されました。このクーデターをどう解釈しますか。

ハスニ・アビディ : ヨーロッパの我々の認識とエジプトでデモをしている人々の認識はかなり違う。我々は彼らがクーデターを支持したと非難はできない。彼らは、選挙で選ばれたムルシ氏を倒すことで、2011年1月24日の革命を再現できると考えたのだ。

このクーデターで、我々は自分たちとエジプトの反政権派の人々の認識の違いに直面したし、またエジプトに「二つだけある組織」、軍とイスラム派の対立に直面したと言える。

swissinfo.ch : このクーデターは1990年代のアルジェリアのそれを思い起こさせます。当時、アルジェリア軍は、突如として選挙システムなどに終止符を打ちました。

アビディ : エジプト軍は、アルジェリアでの一連の出来事をよく理解していた。よって、アルジェリアでの失敗を繰り返さないよう、周到に準備した。

 3日に行われた記者会見には、法界、市民、主だった政党の代表、アル・アザー大学のトップ、エジプトのスンニ派の代表、それに(キリスト教である)コプト教の代表を招いた。

それは、軍が宗教が一番大切だと認識している証拠になった。エジプトの社会はそういう意味で「保守的な」社会なのだ。たとえ、市民の主流は(憲法を主体に)宗教から独立し、イスラム政治組織「ムスリム同胞団」に終止符を打つ方向を目指しているとしてもだ。

エジプト軍は、クーデターの「主犯」になること、つまりアルジェリア軍がやったようなことを避けるために最大限の努力をした。

(Keystone)

swissinfo.ch : それは、エジプト軍には国を主導しようとする意志がないということですか?

アビディ : いずれにせよ、軍には、この政治・経済的に困難な移行期を主導する力がない。軍は、ムバラク政権崩壊後に規模が縮小されたものの、今も国民から高い人気を維持してはいるが。

忘れてはならないのは、ムバラク元大統領は40年間かけ、軍が政治色を帯びないよう努力を重ねてきたということだ。軍は、国土を守るだけで、政治的決定に関与しないようにしたのだ。

その結果、軍も国の予算の2、3割を使う「一つの組織」になった。実は、この経済的なことも今回のクーデターの一因になっている。政権を握ったムスリム同胞団は、軍の予算を削ろうとしていたからだ。

swissinfo.ch : クーデター後の動きをどう予想しますか?

アビディ : 新しい指導者の顔ぶれが、かなり信頼のおける人物たちだということはある。例えば、エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は、一貫した政治的姿勢を貫いている。エルバラダイ氏は、ムバラク政権崩壊後に臨時議会と臨時内閣によって保障された選挙を行い、憲法の作成を提案した。ところが、軍はこうした提案を一切行わなかった。

一方、司法の最高権威・最高憲法裁判所長官に任命されたばかりのアドリ・マンスール氏に関しては、今回暫定大統領に就任したが、この就任でいわば矛盾した状況に置かれてしまった。なぜなら、本来なら自身が「守護すべき」憲法に終止符を打つ任務に就いたからだ。

エジプトは、テクノクラート(実務者)の政権を必要としている。まずは、経済状況を改善し、安全性を保障し、国の安定した基盤を築くような政権だ。

マンスール暫定大統領の責務は困難だらけだ。次期大統領選の日程を決め、新憲法が踏みにじられないようにし、あらゆる政党の力を政治に組み入れていく必要がある。

別の言い方をすれば、軍の要求に応え、イスラム派が提出する方程式にも答えを出さなければならない。

swissinfo.ch : ムルシ前大統領支持派のイスラム政治組織「ムスリム同胞団」に、どういう可能性が残っていますか?

アビディ : ムスリム同胞団にとって、今回のクーデターはかなり厳しい出来事になった。最後の最後まで、憲法に保障された規則は尊重されると考えていたからだ。軍の介入によって、彼らの間にさまざまな考え方が出てくるのではないかと思う。イスラム系の人々に民主主義は向かないと主張する派、もっと急進的な方法を取るべきだと主張する派などだ。

ただ、ムルシ前大統領が政権を握っていた時期に、ムスリム同胞団が行った「人食い人種的に貪欲な政策」は、今高い代償を払っている。政権に失望した民衆の心を取り戻すのは、ほぼ不可能だからだ。

こうした中で、ムルシ前大統領が語った「平和的なやり方だが、最後まで抵抗する」という言葉は、懸念を引き起こす。なぜなら、ムスリム同胞団は「地下運動」に慣れた組織だからだ。


( 仏語からの翻訳・編集 里信邦子 ), swissinfo.ch


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