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スイスが威信をあげ閉幕した 世界情報社会サミット

チュニジアの「ウィリアムテル」と異名をとったサムエル・シュミット大統領は開幕スピーチで拍手喝采をあびた

(swissinfo.ch)

スイスが論争を巻き起こし、威信をあげた世界情報社会サミット(WSIS)の第2段階は11月18日にチュニジアのチュニスで宣言と行動計画を採択して閉幕。

スイスは大統領を送り込んだ数少ない先進国の一つだったばかりか、チュニジアの人権侵害を非難した唯一の先進国となった。

 閉幕式ではモリッツ・ロイエンベルガー通信大臣がホスト国チュニジアに礼を述べ、スイスとチュニジア間のギクシャクした関係改善を図った。会議には世界176カ国、2300人の政府代表団が参加し、日本からは竹中平蔵総務相が出席した。

WSIS開催の背景

 世界から政府、NGO、記者など合わせて1万7500人が参加したこのサミットは世界中の人々が情報社会を享受し、南北間のデジタルデバイド(情報格差)を縮めるのが目的だ。

 この第2回(第1回目はスイス)WSISの開催地チュニジアに関して当初から「情報統制が行なわれている国で情報サミットをやっていいのか」といった議論が上がっていた。しかし、国連は「チュニジアにその反対(言論の自由への公約)を示すチャンスを与える」として開催地を変えなかった。

 ところが、WSIS開催の数カ月前からチュニジア政府の情報統制がさらに厳しくなり、チュニジアの市民団体がこれに抗議してハンガーストライキなどをしていた。

チュニジアのウィリアムテル

 11月16日の開幕式で予期しない出来事が起こった。第1回目のWSISをホストしたスイスを代表してスピーチを行なったサムエル・シュミット大統領が「国連の加盟国でありながら未だに、インターネットやメディアを通して政府を非難したというだけで、市民を投獄するような国があることは、容認し難いとはっきり申したい」と爆弾発言。

 さらに「このため、言論の自由や情報の自由がこのサミットの中心テーマとなることを期待します。つまり、チュニスではこの壁の内でも外でも誰もが自由に議論をできるというのは自明のことです」と述べ、会場の市民団体から拍手喝采を受けた。

 チュニジア政府を名指してはいなかったものの、チュニスでNGOの集会の妨害や記者が取材妨害されたことを暗示しているのは明らかだった。このため、チュニジアの公共テレビ(Canal7)で中継されていた開会式だが、政府が映像を中断したためにチュニジアの視聴者はスイス大統領のスピーチを最後まで聞くことができなかった。

チュニジアでは見られないスイスインフォ

 チュニジアの反体制派によると公共の場でベン・アリ大統領に面と向かって非難した外国高官は「歴史的」という。このため、多くの市民団体がその勇気を称えシュミット大統領に「チュニジアのウィリアムテル」とあだ名を授けた。他国のメディアでもこの出来事が報道されたため、スイスの記者たちは他国の記者たちにシュミット大統領の名前のスペルを教えるのに忙しかったという。

 このスピーチが効を奏したのか、同日に初めてチュニジアのNGO、チュニジア人権連盟(LTDH)がチュニスの中心街で記者会見を開くことができた。しかし、サミット会場のスイス館からは「スイスの窓」であるスイスインフォ(swissinfo.org)へのアクセスは不可能であった。

インターネット管理では一歩前進

 もっとも、注目されていたインターネットの管理問題に関しては、米国中心のインターネット管理体制の見直しへの第一歩である国際フォーラム、「インターネット・ガバナンス・フォーラム」の設置が決まった。来年の前期にギリシャのアテネで各国政府、民間企業、市民団体などが参加できる初の会合が開かれる。

 事実上、米国が独占する現在のインターネット管理体制に中国、ロシアなどは国家による統制を求め、米国や日本などは民間主体の現状維持を支持、欧州連合は国際的な管理の必要を主張しており意見が分かれていた。

 スイスのロイエンベルガー通信大臣によると、フォーラム創設は米国が、将来的にはドメインネーム(.jpや.ch)などの管理は各国が管理できるような交渉基盤を受け入れたことだと解釈する。「もちろん、プロセスの始まりにすぎません。でも、現在のインターネットの管理が、米国の不明瞭な事務所で決められているという事態が今後、変わることが重要です」と語った。


swissinfo、トーマス・シュテファン、フレデリック・ビュルナン チュニスにて 屋山明乃(ややまあけの)まとめ

キーワード

チュニジアで行なわれた第2回、世界情報社会サミット(WSIS)は世界176カ国、政府、民間企業や市民団体ら1万7500人が参加した。

出席した27人の首脳陣のうち、チュニジアの人権問題に触れたのはスイス大統領のみ。日本からは竹中総務相が参加したが、先進国の参加レベルは低かった。

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