工科大学が地雷の処理に貢献

チューリヒ連邦工科大学(ETH)が開発した地雷被災情報データ(IMSMA)は、地雷の発見と除去作業に大きく貢献している。
ETHによって開発された地雷被災情報データ(IMSMA)は、地雷の発見のほか、地雷が敷設された地域のどの部分から処理すればよいかの順番も教えてくれる。
「地雷は戦争が終結した後、何年にもわって市民を殺傷し続ける」
チューリヒ連邦工科大学(ETH)にある防衛政策研究所で、世界の標準ツールである地雷被災情報データ(IMSMA)製作に携わったレト・ヘニ氏は地雷の怖さを語った。
IMSMAは、コソボ戦争の処理で初めて使われ、現在はイラクを含む30カ国で活用されている。国連からのお墨付きもあり、米国や欧州諸国および関連国際機関などが地雷処理作業に使っている。地雷除去に大きく貢献しているこのツールは、スイスのチューリヒ工科大学で開発された。
ソフトは多種にわたる地理情報データを組み合わせて作られている。データは、実際に現地に出向いた人が、細かい作業の経て集め、電子情報としてまとめ上げたもの。
情報源は、戦争で使われた地図、現地の地雷爆発情報、戦闘機からの地雷の空中散布情報、現地に派遣された兵士からの情報など多様である。
緊急を要するものから順に除去
ETHが開発した世界標準ツールIMSMAは、市民に被害を与える脅威が高い順に地雷の位置を示してくれる。
「第二次世界大戦の地雷も、誰も来ないような砂漠に多く放置されているが危険度は低い。一方、学校へ行く道に地雷が1個でも落ちていて、それが爆発すれば、村全体の悲劇につながる」
とヘニ氏は地雷と市民の居住場所の関係を把握することの大切さを語った。
危険地域を示した地図が人命を救う
地雷除去活動のための直接的な利用方法のほか、地雷の埋まっている危険地域を示した地図をプリントアウトすることもできる。
「犠牲者を出さないため、地雷の危険がある場所を示した地図を市民に配布することも重要」
とヘニ氏は語る。
IMSMAはコソボで最初に使われた。現在はイラクをはじめ30カ国で活躍している。ジュネーブの人道的地雷処理国際センターもIMSMAの利用効果を特筆している。同センターのダヴィデ・オリフィキ広報担当官は、
「地雷除去作業では、除去作業よりも発見作業の方が難しい。IMSMAは限定された地域の詳しい地図が見られるのが良い」
とIMSMAを評価した。
数字が語る悲劇
ジュネーブの人道的地雷処理国際センターの統計によると、世界中に散在する地雷の数は 1000億個。米国防省は500万個とより少な目に見ている。チューリヒにあるNGOで、地雷絶滅のために活動している団体によれば、世界のどこかで30分ごとに地雷が爆発している計算になるという。
スイス国際放送 ヴィンセント・ランドン 意訳 佐藤夕美 (さとうゆうみ)
5000万個の地雷が地球上に散在していると見られている
終戦後も地雷は市民を殺傷しつづける
地雷被災状況データ(IMSMA)が緊急に除去が必要な場所を知らせ、作業に役立っている
危険地帯を示した地図を市民に配布することが緊急課題
5000万個の地雷が地球上にばら撒かれていると見られている
終戦後も地雷は市民を殺傷しつづける
地雷被災状況データ(IMSMA)が緊急に除去が必要な場所を知らせ、作業に役立っている
危険地帯を示した地図を市民に配布することが緊急課題

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