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スイス-EU、オープンな関係に

日本通でもある、ライタラー大使。東京の大学で国際交渉問題の講義もするという

(swissinfo.ch)

スイスと欧州連合 ( EU ) の関係は現在、税制問題で多少ギクシャクしたものがある。EU大使のミヒャエル・ライタラー氏は、スイスとEUとのやや緊張した関係を和らげるには双方の理解が必要だと言う。

2月末、スイスインフォを訪問したライタラー大使は、EUとスイスの関係について税制と人の往来の自由の問題を取り上げ語った。

swissinfo : 大使としての如才無さはまず横において、スイスのどこに苛立ちを感じるか、ここではっきりおっしゃっていただきたいのですが。 

ライタラー : 私が如才無いとあなたは断言するが、そうだろうか。実際のところスイスに対して苛立ちは覚えていない。話は専門的になるが、単に人の話を聞こうとしない人が多い中、EUにスイスからある種のメッセージを伝えることが難しい。つまり、わたしが言いたいのは、EUは常に、経済面でのみ認知されているということだ。ほかの分野もあるにもかかわらず、誰もそれを認めない。

また、スイスは非常に伝統的なものさしで物事を測ろうとするところがややある。スイスは直接民主主義を創造したが、EUにはそれはない。結論として言えば、EUは民主主義ではなく、それに対抗することは難しい。

swissinfo : 現在ドイツとリヒテンシュタインの関係を揺るがしている税制問題で、EUがスイスの金融界を詳しく捜査するということはありえますか。

ライタラー : スイスはリヒテンシュタインとは違うということを認識しなければならない。EUはリヒテンシュタインと詐欺協定の交渉をしているところだ。この交渉は進んでいる。一方スイスとは、すでに同等の交渉は締結している。つまり、スイスはすでにこの点で重要な決断をした。

また、すべてを税制問題で片付けることはできない。われわれはスイスと関係を保って歩んでいるが、こうしたメッセージを分ってもらうことがこれまた難しい。現在の問題は、税制問題ではなく、( 脱税 ) 幇助についての討論だ。EU諸国においても税制は各国の問題であることを忘れてはならない。EU単一の制度があるのではなく、27の違った制度があり、各国間の税制面での競争も働いている。委員会に調査検討が委託されたのは、幇助権という意味での競争問題についてであり、それが私たちの管轄する問題である。

税制 ( Steuer/Contributions )

スイスには地方税、州税、連邦税の3つがある。地方自治体および州の税制はそれぞれ独立し、税率、仕組みなどまったく異なる。税率を低く抑えることで、企業誘致や住民を呼び込む政策を行う州もある。連邦税は全国で統一されている。直接税の大半を地方税と州税が占め、連邦は付加価値税や関税など間接税を徴収する。

swissinfo : 人の自由な行き来についても重要な課題があります。ルーマニアとブルガリアとの行き来の自由や、2008年以降における人の往来の自由の拡大などですが、スイスが拒否する可能性があると思いますか?

ライタラー : スイスにとって、人の往来の自由は自国に利益をもたらすものだと考えていたであろうし、現在もそう考えているでしょう。この問題は、利益をもたらすのだと納得している人すべてが、実現化に向かって努力すべきであり、ポピュリズム的な目的で悪用されるべきではない。スイスの経済界は人の往来の自由により、必要な人材を得ることができる。2000年の経済の発展は人の往来の自由化が寄与した面があるだろう。

第1次EU-スイス協定の交渉の場では、人の往来の自由問題で合意が得られなければ協定そのものが破綻するほど、この問題は重要だった。そして今、もし、2009年に人の往来の自由の拡大問題が国民投票で問われることになったとしても、わたしはスイス人を信頼している。

ルーマニアとブルガリアについては、EU加盟国は27カ国であることを認めることが重要だ。加盟国内で差別があってはいけない。もちろん移行期間はある。この点でEUはわれわれの主張を引き下げスイスの主張を受け入れた。いずれにせよ、人の往来の自由は27カ国すべてに同様に有効である。

swissinfo : スイスとEUとの将来の関係に関する討論がないと指摘されていますが、あなた自身のビジョンはどのようなものですか? 

ライタラー : スイスは自分で考えなければならない。常にわたしは「スイスはEUの非加盟国としてヨーロッパでどのような役割を果たしたいのか」という問題提起をしている。( 国の ) 地理的な位置は動かせないが、多くの変化をもたらすことはできる。

民主主義の伝統に誇りを持っているスイスのような国家は、―― 民主主義とは国民が一緒になって決め、行うことであるが ――、交渉の場に着かないことが実際的には利益をもたらすかもしれないということも、時に応じて検討する必要がある。状況は定期的に検討されるべきであり、広い視野で評価されなければならない。

swissinfo : そのような討論をどのようにすればできるようになるでしょうか。

ライタラー : 重要なのは広い討議だ。政治問題を1つの党やグループに任せないことだ。討論は「近い将来EUに加盟したいか?」といった質問をしないことである。経済面ではスイスは、EU加盟国になる必要はない。

スイスはEU諸国とは違う。中欧や東欧を見てほしい。EUの加盟国として受け入れられるよう、15年の間、徹底的な改革をしてきた。旧来の民主国家はそのようなことはできなかっただろう。

swissinfo : いつか、転任されると思いますが、その前にEU大使としてスイスで達成したい目標は? 

ライタラー : 転任はいつかします。よって安心して欲しい。

EUとスイスが、感情論を控えて話し合えるようになれば、EUとスイスの関係がスムーズになる。EUの要求を、スイスのものさしに合わせて説明し交渉することが、私の役目だ。そのためには、リラックスした、オープンな関係が必要だ。また、両者の関係は非常に広いものであることを踏まえなければならない。例えば、経済面で小さな問題が浮上したとしても、「家全体が火事になる」といった間違った結果に至るようなことのないように。緊張が解け、お互いの役割と価値感に対する理解が得られるようになれば、私の微力が寄与したのだと思う。

swissinfo、クリスティアン・シュミット 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

補足情報

ミヒャエル・ライタラー氏略歴
54歳、オーストリア人。ジュネーブで国際関係を学ぶ。2007年から在スイスEU大使。2007年4月3日からEU大使館がスイスに公式に設立された。
スイス駐在前は日本のEU代表部に籍を置いていた。

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スイスとEUとの関係

1999年に結ばれた第1次スイス ―EU協定は、人の往来、貿易、雇用、農業、空路、陸路、科学研究協力の7項目にわたる内容だった。
第2協定は2004年に結ばれ、経済諸関係、シェンゲン・ダブリン協定、難民、環境、文化などにわたり、利子課税問題についても両者は合意した。

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人の往来

2002年6月1日から、EU旧15カ国との自由化が始まった。2005年9月、スイスは国民投票で、EUが2004年5月に決定した拡大EU ( エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリー、キプロスの新加盟国10カ国 )を受け入れることを承認した。

現在、両者間の交渉は、2007年にEU加盟国となったルーマニア、ブルガリアとの人の往来について。国民党 ( SVP/UCD ) は、レファレンダムを起こし、受け入れに反対しようとしている。EU側はスイスとの協定は自動的に延長されるが、スイス側は任意のレファレンダムの可能性を残している。

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