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ダボスでフランスと和解 

WEF創立者のクラウス・シュワブ氏 ( 左 ) と握手するニコラ・サルコジ仏大統領。背後には笑顔のドリス・ロイタルト連邦大臣 Reuters

1月27日、フランスのニコラ・サルコジ大統領が第40回世界経済フォーラムをダボスで開会した。

これに先立ち、サルコジ大統領はスイスのハンス・ルドルフ・メルツ財務相と会見し、HSBC銀行顧客情報盗難事件で両国が協力することで意見が一致した。

3つの対策

 世界経済フォーラム ( WEF ) の年次総会、ダボス会議の開会演説でサルコジ大統領は資本主義を批判し、金融システムや通貨システムの建て直しを求めた。また、フォーラムの参加者に対し、現在の金融および経済危機からともに教訓を得るよう呼びかけた。

 メルツ財務相との会見には、フランスのエリック・ヴォルト財務相も同席した。会見後、メルツ財務相は記者団に対し
「盗難データに関して、次のように協力することで意見が一致した。第1にフランスは情報のコピーをスイスに返却する。第2に、フランスは情報に関する捜査協力をスイスに申請しないことを約束。第3に、フランスはスイスに対し第三国条項の順守を確約した。この確約によって、フランスが流出情報を第三国に開示することはなく、必要があれば他国は正式にスイスに捜査協力を願い出ることになった」
 と述べた。

 ジュネーブのプライベートバンクHSBCの元行員が2008年末に数千人分の顧客情報を盗み出した事件をきっかけに、スイスとフランスの関係は緊張化した。フランス政府はそのデータを利用して脱税者を追跡しようとしたが、スイス側は盗難データが捜査や捜査協力の申請に利用されることに立腹し、データの返却を求めていた。2009年12月、スイス政府はさらにフランスと結んだ租税条約の批准の一時凍結を決定した。

 メルツ財務相は、サルコジ大統領との会談で達した意見の一致で対フランス関係の危機はいずれにしても切り抜けられたと考え、
「これら3つの対策は両国にとって有益であり、盗難データ問題は解決できる」
 と語った。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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