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チベットは闇の時代を生きる

「チベット人の戦い方はいつも変わらない」とクロード・ルバンソン氏は言う

(Keystone)

50年前の3月10日、中国政府の弾圧にチベット民族が蜂起しチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命した。

動乱後50周年を迎えるチベットを「闇の時代を生きる」とクロード・ルバンソン氏は表現する。ルバンソン氏はダライ・ラマ14世とも親しく、チベット問題を専門に数冊の本を書いたジャーナリストだ。チベットの現状を聞いた。

swissinfo : ダライ・ラマ14世亡命後の50周年はチベット人にとって何を意味しますか?

ルバンソン : 50周年はとても重要です。60年間占領され、50年来精神的指導者もなく、それでもチベット人は暴力に頼らず抵抗してきたことを示しているわけですから。彼らは自分たちの土地に住み、ときには命を犠牲にしながらチベットを維持してきました。

swissinfo : この50周年を、本国のチベット人と亡命チベット人は同じ思いで迎えているのでしょうか?

ルバンソン : 表現方法はかなり違いますが、同じ思いです。亡命チベット人、特に若い世代は、亡命先の自由で民主的な環境に慣れ、うまく同化しています。チベット人としての精神性は失わず、亡命先の国の市民としての人権を享受しています。

チベット本国では明らかに弾圧が強化され、2008年の抵抗運動はチベット中に燃え広がりました。市民の逮捕や家宅捜索が今でも続き、デモは禁止され、いくつかの僧院は包囲されています。現在チベットでは、言論の自由はまったく存在していません。

2008年の抵抗運動は、亡命チベット人が本国のチベット人を勇気づけ、奮い立たせたからだと思います。ダライ・ラマ14世が外国に亡命し、何十万人もの亡命者を出した50年後の今、チベットは本国と亡命者たちのチベットという2つの顔を持ちながら、確かに存在しているのです。

swissinfo : 現在、本国のチベット人の精神状態はどうなのでしょうか。希望を持ち続けているのでしょうか。

ルバンソン : 主に北京にいる外国人ジャーナリストの報告によると、チベットの抗議デモは完全に禁止されています。チベットの全ての町は軍によって厳しく監視されています。チベット人は恐れています。

家族を通じて手に入る情報だけが頼りで、まるで中国の文化大革命の時代に戻ったようです。恐怖が支配し、考えていることも、信じていることも表現できない状態です。

あきらめているのか?いえ、そうは思いません。あきらめていれば、昨年のような抗議デモは起きなかったでしょう。希望を捨ててはいない?恐らくそうでしょう。自分たちの伝統、文化であり続けるものを保持しながら、耐えて生きて行こうという希望は持っている。希望と小さな抵抗を行なっていくことが、彼らの社会の基本なのです。

swissinfo : スイス政府はチベット問題に消極的になりつつありますが。

ルバンソン : 残念ながらその通りです。ほかの国と同様、チベット支持はかなり後退しています。スイスは1960年初めからチベットからの亡命者を何千人も受け入れたヨーロッパで最初の国です。60、70年代スイス政府は、チベット人の受け入れを抗議する中国政府の威嚇的な手紙を拒絶したことさえあります。

しかし今日、ダライ・ラマ14世の話になると、ほかの国と同様消極的になります。悲しいことですが。

チベットを支持することは、われわれ自身の自由を守ることだと思います。チベットの民族自決権を支持することは可能です。それには彼らについて語ればよいのです。黙っていることは、いつかわれわれでさえ、言論の自由を奪われる可能性があることにつながるのです。

swissinfo : スイスが消極的になっている原因は何ですか。

ルバンソン : ほかの国と同様、経済的に成長を続ける中国との関係が気まずくなることを恐れているからです。さらに、この成長している大国は、ほかの国から尊重されることを望み、平和的政治姿勢も見せようとしています。ただ後者に関しては、巨額な軍事予算を見るとき、疑いたくなりますが。

swissinfo : チベット問題に対し、スイスは将来何をすべきでしょうか。

ルバンソン : 国際的な関係の中でスイスが続けてきた、本来の基本姿勢を守る勇気を持つことです。もし、中国との友好関係を自負するなら、将来中国とチベットとの間に真剣な交渉が行なわれるよう、両者の政治的責任者に働きかけるべきではないでしょうか。もちろんこれを実行するには、ほかの民主的な国々の協力が必要ですが。

さらに、多くの西欧の国にとっても、スイスにとっても ( 中国に対する ) 恐れを捨てることはとても大切なことです。恐れはいつの時代でも物事を前に進める妨げになりますから。

swissinfo、ピエール・フランソワ・ベッソン  里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳 

チベット問題に対する連邦財務省( EFD/DFF )の見解

1 対話: 「スイス政府はダライ・ラマ14世を含むチベット仏教責任者と中国政府間の対話が実現することを支援する」と連邦財務省のアンドレアス・シュタウファー氏は説明する。

2 目的: スイス政府は、チベットが宗教的自由、文化的権利などを含む人権を尊重されながら自治力を高めるには、対話が唯一の解決方法だと認識している。

3 明確な説明: スイス政府はチベットをスイス政府の重要な関心事だと明言している。人権理事会で行なわれた「普遍的定期審査 ( Universal Periodic Review・UPR ) 」で、スイスはチベットの少数民族の人権に関して発言した数少ない国の1つだった。

4 基本: スイス政府はほかの国際社会と同様、1951年以来チベットを中国の自治区として承認している。スイス政府はインド北部のダラムサラにあるチベット亡命政府を承認していない。

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