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ノバルティスとブリジストン、不名誉賞を受賞

ノバルティスは特に、インドでのジェネリック薬製造停止で批判された Keystone

ダボス会議を監視する「パブリック・アイ・オン・ダボス ( Pubulic Eye on Davos ) 」会議がスイスの大手製薬会社ノバルティスと日本のタイヤ製造会社ブリジストンに、「パブリック・アイ賞」の1つ、不名誉な「責任を取らなかった賞」を贈った。

「責任を取った賞」にスイスの大手スーパー、「コープ ( Coop ) 」が選ばれた。

 パブリック・アイ会議は、毎年「世界経済フォーラム ( WEF ) 」の年次総会ダボス会議の開催時に平行して行われる。主催者は環境問題を扱うNGO「プロ・ナチュラ ( Pro Natura ) 」と「ベルン宣言 ( Déclaration de Bern, DB ) 」で、ダボス会議を監視し、批判するために創設された。この会議が与える賞は「パブリック・アイ賞」と呼ばれ、 不名誉な「責任をとらなかった賞」は計6つ。そのうち3つはスイスの企業、他の3つは世界の企業に贈られる。また名誉な「責任を取った賞」も昨年から贈られるようになり、今年は3社が受賞した。

受賞3社

 スイス企業のカテゴリーで、ノバルティスが「責任を取らなかった賞」を不名誉にも受賞。理由は、インドや他の途上国で後発医薬品 ( ジェネリック薬 ) の製造を中止したからだという。

 日本のブリジストンは、リベリアの工場労働者の衛生、環境面での管理を十分に行わなかったこと、またゴムの栽培農園で子供の労働者を雇っていたことの2点でこの不名誉な賞を受賞。

 一方、スイスの大手スーパー、コープは有機農産物の販売に貢献したとして、名誉な「責任を取った賞」を受け取った。この賞をNGOではなく企業が受け取るのは今回が初めて。

パブリック・アイ会議

 パブリック・アイ会議で、 NGO「世界の地球 ( Earth International ) 」の副会長、トニー・ジュニパール氏は、ダボス会議で取り上げられる経済の規制緩和に関する新しい方針を警戒し、監視するよう呼びかけた。

 ジュニパール氏はまた、再開が予定されている世界貿易機関 ( WTO ) の多角的通商交渉 ( ドーハ・ラウンド )での閣僚会議で、環境問題の取り扱われ方に問題が生じるだろうと語った。

 他の発言者「グリーン・ピース ( Greenpeace International ) 」の会長、ゲェルド・ライポルド氏はダボス会議に自ら参加することを弁明し、「政治家や会社社長だけに政策決定を任せておくわけにはいかない」と述べた。また「ダボス会議の参加者に、自分たちの決定は何十億人もの人々に影響を与え、従って責任も大きいということを認識してもらいたいからだ」と締めくくった。

swissinfo、外電 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

「パブリック・アイ賞」は、基本的に大手企業に贈られる。ここ数年スイスの大手食品会社ネスレが批判の的になり、「責任を取らなかった賞」を贈られている。

ネスレはコロンビアでの労働問題に関する対応が問題にされ、また乳児用の食品販売が度を越して過激であると批判された。

昨年は、ディズニー社がこの不名誉賞を受け取った。理由は南中国での販売責任者たちの人権侵害を黙認したというもの。

2006年から初めて責任を果たした名誉賞「責任を取った賞」が贈られることになった。

この名誉賞を昨年受け取ったのは、メキシコの労働組合SNRTとドイツの2つのNGO。この3つの組織は協力してメキシコにあるドイツの「コンチネンタル (Continental ) グループ」のタイヤ製造工場が不法に閉鎖されることに反対した。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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