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フェデラー引退後に備えるスイステニス界

ラファエル・ナダルとロジャー・フェデラーの2人がほほ笑む理由は十分にある

ラファエル・ナダルとロジャー・フェデラーの2人がほほ笑む理由は十分にある

(Keystone)

ロジャー・フェデラー ( 29歳 ) は依然としてライバルを倒し、トロフィーを獲得し続けている。しかし、彼もまた永遠ではない。スイステニス界は「フェデラー後」の将来に備えている。

しかしテニスファンの心配は無用だ。ジョン・マッケンローは、トップランクに新人が登場するまであと数年間はフェデラーと現在世界1位のラファエル・ナダル ( スペイン ) の競争が続くと予想する。

二強時代は続く

 「今後1、2年の間にこれらの選手が消えていくと考える理由はない」

 と世界1位の経歴を持つアメリカの元プロテニス選手マッケンローは断言し、さらに

 「前シーズンは世界1位を狙う24歳のナダルが優勢だったが、フェデラーは依然として意欲を燃やしていた」

 と続ける。

 これまで16回も4大大会で優勝したフェデラーは、前シーズンの最後、昨年11月にロンドンで開催された「ATPワールドツアー・ファイナル」でナダルを破った。

 「フェデラーは今も試合に情熱を持っているようだ。この1年も本当に強かった。2人の競争は信じられないくらいだが、これがもう数年続くよう願っている。そうなれば2人の試合をこれからも楽しめる」

 と自身も4大大会で7回優勝したマッケンローは語る。

 近年はフェデラーとナダルが世界1位と2位を争う状態が続いている。フェデラーは2003年以来、ナダルは2005年以来、毎年4大大会のいずれかで優勝し、両者とも現役時代の間に4大大会のすべてで優勝を果たす「生涯グランドスラム」を達成している。

 フェデラーとナダルの拮抗を破るためには、世界3位のノバク・ジョコビッチ ( セルビア ) と4位のアンディ・マリー ( イギリス)   がもっと強くなる必要があるとマッケンローは指摘する。

「彼らは得意技を増やさなければならないだろう . . . . .  そしてテニス史上最高といってもよいほどの才能に恵まれた2人の選手と戦えるようになるためにはもっと必死に努力しなければならない」

投資

 しかしスイステニス協会 ( Swiss Tennis ) はただじっと待っているわけではない。12月16日に会長のレネ・シュタムバッハ氏は、ビール/ビエンヌ ( Biel/Bienne ) で建築中の国立テニスセンター ( National Tennis Centre ) の着工式に臨んだ。

 今後1年余りで完成予定のテニスセンターは以前より大きくなり、テニスコート、宿泊所、教室を完備している。建設費用の約600万フラン ( 約5億2000万円 ) のうち4分の1は政府が負担している。この施設を使用するのは、すでにそこで訓練を受けている10人の若いスイス人選手だけでなく、新設されたスイス・テニス・アカデミー ( Swiss Tennis Academy ) に在籍する若い外国人選手も含まれる。

 スイステニス協会は、アカデミーの年間授業・訓練料3万6000フラン ( 約310万円 ) から出る利益をスイスチームの訓練費用に充てるつもりだ。

 「これは新たな出発だ。生徒たちは一つ屋根の下で生活し、訓練を受ける。こうして、現在家と訓練所の往復のために毎日無駄にしている数時間を有効に使えるようになる」

 とシュタムバッハ会長は語る。

 また、スイステニス協会はコーチ陣にも投資をしている。同協会のコーチ6人を指揮する監督に任命されたスイス人のハインツ・ギュンタルト氏はシュテフィ・グラフ ( ドイツ ) やアナ・イバノヴィッチ ( セルビア ) など世界首位を極めた選手のコーチを務めた経歴を持っている。

 ギュンタルト監督は、コーチ陣が「量よりも質」に焦点を当てていることを強調する。

 「ロシアとフランスは何百人もの選手のためにパワーポイントを使って訓練のアイデアを開発したが、スイスで同じことをやっても意味がない」

さらに

「ここには一流レベルの能力を持つ選手は多くても3、4人。われわれはこうした選手の育成に集中して、ビール 、チューリヒ、どこであろうとも最高の機会を提供しなければならない。目的は個々の選手の必要に応えることだ」

 と語った。

「より現実的な」

 過去10年間にフェデラーやマルチナ・ヒンギスのような世界のトップ選手や、国際的に引けを取らない一握りの一流選手を生み出したシステムを、スイスはなぜ利用し続けないのだろうか?

 例えばスタニスラス・ワウリンカは現在世界21位にランクされているが、以前は上位10位に食い込んでいた。32歳のパティ・シュナイダーは44位に落ち込んだが、最高7位に昇ったこともある。目下の最有望スイス人選手は21歳のティメア・バシンスキー。彼女は昨年37位に上昇した。

 「こうした数人のスター選手が例外的かつ幸運にも集まっていることで一般人の期待が高まった。わたしたちはこれからもっと現実的になる必要がある」

 とスイス・デビスカップ・チームのキャプテンでフェデラーのコーチでもあるセベリン・リュティ氏は主張。

 シュタムバッハ会長の望みは、「5年から7年の間にデビスカップでスイスの国旗を揚げ続ける選手が出てくる」ことだ。

 

 しかしコーチのリュティ氏はそこまで確信していない。

 「現在のところ、スイス代表チームに入れるような可能性を持った新人は見当たらない」

 事実、18歳以下の精鋭選手9人を集めたスイスAチームの最強選手の世界ランキングはまだ783位だ。

 勝者を生み出すには土台となる若手の厚い層が必要だ。ところが過去10年間、ジュニア選手の登録は1万2926人から1万4613人へとわずかに増加したのみ。女子に至っては4678人から3871人へと減少さえしている。

 スイステニス協会は、新人勧誘の遅れが明らかに「弱点」であることを認めている。そしてこの対策として、全国のスイスクラブで若年層の新メンバー募集を行うために、8月27日を全国的な「テニスの日」に定めると発表。このキャンペーンを盛り上げるスターはもちろんロジャー・フェデラーだ。

デビスカップ ( The Devis Cup )

国際テニス連盟 ( ITF ) が主催する男子テニスの国別対抗戦。2010年には125カ国のチームが参加した。

参加国はすべて、過去の実績からに五つのレベルに分けられている。最高レベルのグループは、最強16カ国から構成されている「ワールドグループ」。この16カ国の勝ち抜き戦によって優勝カップが争われる。

それ以外の国は、「欧州・アフリカ」、「アメリカ」、「アジア・オセアニア」の三つのゾーンに分けられた後、レベルIからレベルIVまで4段階に分類される。(ただし欧州・アフリカグループはレベルIIIまで )

これらのグループの上位8カ国は、ワールドグループの下位8カ国と翌年のワールドグループ出場権をかけて戦う。

2011年のワールドグループの試合は、3月、7月、9月、12月の各月の週末に対戦国のどちらかで開催される。

4人の選手から成る各チームの試合の組み合わせは、ITFが前年の成績を考慮して作成したランキングシステムに従って決定される。

スイスは2007年にワールドグループから外れたが、2009年に復活した。欧州・アフリカゾーングループIを下した後、フェデラー率いるスイスチームはワールドグループ決定戦でベルギーに4-1で勝利。しかし2010年の夏、フェデラー不在でカザフスタンに5-0で惨敗し、再びワールドグループから外れた。

2008年はスペイン、2009年と2010年はセルビアが優勝。スイスの優勝経験はこれまで皆無。

1992年は決勝戦まで進出するもアメリカに敗退。


( 英語からの翻訳 笠原浩美 ), swissinfo.ch


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