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プライベート・バンク、苦しい展開

急成長を続けていたプライベート・バンク部門に落ち目の傾向が見え、新規採用を中止または削減に踏み切る銀行が出ている。背景にあるのは、世界経済の停滞だろうか、それとも租税逃避を目論む外国人客の減少か?

このコンテンツは 2001/08/28 10:38

2000年末まえでの3年間で、スイスのプライベート・バンキング部門の就労者は49%増加した。が、ここへ来て、ブームに翳りが見えてきた。今のところ人員削減を発表したのはUBPだけだが、新規採用の削減または中止している銀行は複数ある。大手プライベート・バンクの1つLombard, Odier & Cieは、昨年は20%従業員を増やしたが、今年は6%から8%を増やすにとどまった。この状況について、ジュネーブ金融センター財団のフランソワ・ギリヨン氏は「余談を許さない状況ではあるが、ある程度の減速を悪いことと決めつける必要はない。」と言う。また、スイス個人銀行協会のミシェル・デュロベル事務局長は「個人銀行はここ4、5年で急激な成長を遂げたが、この成長率は永遠に続くものではない。」と冷静にいう。

スイスの銀行には、世界で25兆ドルある海外資産のうち3分の1が預金されているが、世界経済の停滞の影響から逃れることはできず、近年減益の傾向にある。米経済の減速と、ITバブル崩壊により、プライベート・バンクに資産管理を依頼する新規顧客が減少していることは確かだが、スイスのプライベート・バンクの顧客は一般にニューエコノミー成り金よりも高齢の保守層が多いと、先のギリヨン氏はいう。では、スイスのプライベート・バンクの顧客が減った原因は何か?アナリストらは、スイスの銀行口座に資産を預ける租税逃避者が減ったと見ている。

今までは、スイスの銀行は顧客に個人的な質問を一切せずに何でも預金を引き受けた。このシステムを利用し、多くの外資系銀行がスイス支店を開設した。現在ジュネーブにあるプライベート・バンクのうち75%にあたる49行は外資系だ。1997年に規制強化されたが、プライベート・バンク部門の繁栄は揺るがなかった。が、租税回避が困難になり、各国のプライベート・バンクのサービスが向上するにつれ、スイスの銀行秘密保持は顧客を引き付ける魅力を失い始めた。加えて、スイスはEUから租税回避阻止協力の強い要請と圧力を受け、スイスは租税回避の天国ではなくなってしまった。

しかし、デュロベル・スイス個人銀行協会事務局長は、規制強化の影響は大したものではなく、問題は市場そのものにあるという。現在、最も苦しい状況にあるのは、中規模行だ。小規模行ほど柔軟性がなく、また大手ほど強くない中規模行が、身動き取れなくなっているという。大手10行が市場の8%しか押さえていない混戦模様のこの部門では、合併や買収などで競争力を強化することが必要だとアナリストらはいう。「ツール・ド・フランスと一緒だ。上り坂では、弱者は脱落する。」とデュロベル事務局長は語った。

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