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ベルンのホテルで昼寝

一時の平和のまどろみを味わうことができる中庭. www.baerenbern.ch

昼食後、睡魔に襲われたことがない人はいないだろう。ちょっと昼寝をするだけで、その後の仕事の効率はぐんと上がる。昼寝をスペイン語ではシエスタと言い、かの国では昔ながらの習慣だ。

ベルンにあるホテル・ベーレン ( Hotel Bären ) にはシエスタ付きの昼食メニューがある。シエスタは部屋か中庭かいずれかをチョイスできる。

 ノーベル文学賞受賞者のスペインの作家、カミロ・ホセ・セラはシエスタを「イベリアのヨガ」と言ったが、スペインでシエスタをする人は少なくなった。一方、シエスタはスペイン国境を越え、ヨーロッパ全体に広がっている。2002年に発表された科学雑誌「ニューロロジー」によると、シエスタを最も多くするのは、スペイン人でもポルトガル人でもなく、ドイツ人だという。

シエスタのできるホテル 

 昨年からベルンのホテル・ベーレンでは、シエスタのニーズを見込み、昼食とセットにしたサービスを提供している。

 ホテルは連邦議会などベルンの官庁街にあるため、官庁で働く多くの人を顧客に取り込もうとしたのだという。去年の反響が良かったことから、今年も引き続きシエスタサービスは続いている。風変わりなサービスなので、アピールのため、ホテルの入口にはレストランのメニューのほかにベッドも飾っている。

パティオでするシエスタ

 食事後にシエスタをする場合は20フラン ( 約1800円 ) 。シエスタのみは15フラン ( 約1350円 ) だ。ホテルの部屋でもできるが、お勧めは中庭 ( パティオ ) でする屋外のシエスタだ。ベッドは羽根布団で被われている。グリーンの鉢が置かれ、適当に日陰ができている。騒々しい街中にあって平和のまどろみを提供してくれる。
 ただし天候に左右されるのが玉に瑕。寒ければ湯たんぽがあるが、雨が降ればシエスタはホテルの部屋の中となる。もちろん、シングルルーム。「シエスタが目的ですから」とホテルの受付担当のミリアン・グリッチさん。

 ほとんどの客がパティオでのシエスタを希望するという。2月末から6月初旬までに毎週10から15人の客がシエスタをしにホテルを訪れたという。5月は雨の日が多かったが、人気は衰えなかった。

中年の男性が多い

 客は男性が女性を上回り、昼休みに2〜3時間使うことができる人で、年齢は45歳以上。ベルン郊外に住む人が多いという。料金を安く設定しているものの、若い人はあまり来ない。「それでも人気はあります。ほかのホテルはしていませんから」とグリッチさん。

 ベルンでまどろみたい時に何処へ行くべきなのかは、もうお分かりだろう。シエスタ付き昼食は、12時半から午後3時まで。月〜金曜日までで週末はない。

swissinfo、ベレン・コウセイロ 佐藤夕美( さとう ゆうみ )意訳

ホテル・ベーレン ( Hotel Bären )
シエスタ付き昼食 月〜金 12時半〜15時
シエスタのみ15フラン、昼食付き20フラン
シングルルームかパティオかの選択あり

ホテル・ベーレン ( Hotel Bären )
シエスタ付き昼食 月〜金 12時半〜15時
シエスタのみ15フラン、昼食付き20フラン
シングルルームかパティオかの選択あり

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