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マリとフィリピンで人質解放

マリの広大な砂漠はテロリストや盗賊が自由に動き回れる場所 Keystone

7月12日、マリのアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ大統領広報官のセイドゥ・シソウマ氏は、首都バマコ ( Bamako ) でスイス人人質の解放を発表した。

人質に取られていた57歳のスイス人男性は今年1月、サハラ砂漠でマグレブ諸国のテログループ「アルカイダ」に誘拐され、6カ月間近く囚われの身となっていた。

イギリス人男性を殺害

 人質のスイス人男性は7月12日朝、マリの北部に位置するガオ ( Gao ) 地域で解放された後、マリ当局に保護された。スイスの対策本部を率いていたマルクス・ベルリン大使はベルンで記者会見を開き、「嬉しく、安堵した」「身代金は支払っていない」と述べた。そして
「スイス政府は誘拐グループと直接交渉をしていない。マリの大統領が解放に尽力してくれた」
 と続けた。

 解放された男性は疲労しているが、健康状態はまずまずだという。連邦外務省 ( EDA/DFAE ) によると、バマコでスイス側に引き渡され、医師の診察を受けることになっている。回復次第、スイスの家族のもとに戻る予定だ。

 チューリヒ州アドリスヴィル ( Adliswil ) 出身のこの男性は、今年1月22日、マリとニジェールの国境地帯を観光していたところを、妻、ドイツ人女性、イギリス人男性とともに誘拐された。男性の妻とドイツ人女性は4月にマリの北部で解放されたが、アルカイダは6月、イギリス人男性を殺害したと発表。身代金の引き渡しとイギリスに拘留されている仲間の釈放を要求し、この要求が満たされない場合はスイス人男性も殺害すると脅していた。

 マリはスイスの開発協力の主要対象国の1つ。連邦外務省はマリ政府からの知らせに対して
「包括的な支援がこのような嬉しい結末を導いた。2人のスイス人の解放と帰還に対するマリ政府の尽力は両国の結びつきをより強力にする」
 と感謝の念を表した。

アブサヤフの家族と交換か

  また、ジュネーブの赤十字国際委員会 ( ICRC ) とローマのイタリア外務省も7月12日、フィリピンでイスラム過激派「アブサヤフ」に誘拐されていた赤十字国際委員会職員のイタリア人男性が解放されたと発表した。

 赤十字国際委員会のフィリピンの責任者リチャード・ゴードン氏は
「彼は激しく衰弱している。身代金は支払っていない」
 と話している。イタリア人職員は、イスラム過激派と交渉した地元政治家によってホロ島の軍基地に保護されたという。


 62歳のイタリア人男性は今年1月15日、スイス人男性とフィリピン人女性とともにホロ島で人道プロジェクトを行っている最中に誘拐された。フィリピン人女性は4月初旬に、スイス人男性は4月中旬にそれぞれ解放されている。

 地元のインターネットサイトによると、今回の人質解放は、フィリピン軍が7月7日に逮捕したアブサヤフ幹部の妻2人と子どもとの交換によって実現したと報道している。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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