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リビア問題をどう解決するか

拘束中のビジネスマン、ラシッド・ハムダニ氏の夫人ブルナ・ハムダニさんは、夫ともう1人のスイス人の解放のためには、メディアへの登場をいとわないと語る

メディアでのキャンペーン、外国からの支援、制裁、穏やかな交渉など、さまざまなリビア問題解決策が憶測されている。

リビアの最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐の息子ハニバル・カダフィ夫妻逮捕事件に対する報復として、リビアに拘束中のスイス人ビジネスマン2人はいまだ解放されず、両国の関係正常化のための60日間の期限も先週に終わった。しかしスイス政府は今後の対策に対して沈黙したままだ。

諸対策

 「スイスは落とし穴から這い出すべきだ。そしてこの落とし穴をうまく利用すべきだ」と助言するのは、リビアでエイズウイルス ( HIV ) に多くの子どもを感染させたとして死刑判決を受け8年間拘束されていた5人のブルガリア人看護師の弁護士、エマニュエル・アルティトゥ氏だ。

 「つまり、拘束されているビジネスマンとその家族が ( 問題の ) ステージの中心に上ること。こうしてメディアの反響を高めることで一般の人の関心を呼び、政治家へのプレッシャーを強められる」
 とアルティトゥ氏は続ける。

 実際10月28日、拘束中のビジネスマン、ラシッド・ハムダニ氏の夫人であるブルナ・ハムダニさんがフランス語圏のテレビ番組に出演し、
 「もし必要なら、カダフィ大佐の家族に会う準備がある。カダフィ家の名誉が傷つけられ、スイスを非難することは十分理解できるが、それはわたしの夫とは何の関係もないことだ」
 と語った。

 番組の中で、国連人権理事会の助言委員会のメンバーでリビアの専門家、ジャン・ツィグラー氏は、リビアの態度は外交関係に関するウィーン条約に違反するため、スイスはハーグ国際裁判所に訴えるべきだと提案した。

 キリスト教民主党 ( CVP/PDC ) の連邦議会議員リュック・バルタサ氏は、経済的制裁やシェンゲン協定内でのビザ制限などを行えば、カダフィ家は非常に敏感に反応すると主張し、
「例えばパリ・トリポリ間の往復便をキュンセルするなどの処置が適当なのではないか」
 と述べた。

仲介役の提案

 一方連邦政府の反応として、先週22日ベルンで行われた記者会見でミシュリン・カルミ・レ外相は普段の冷静さとは違い、「2人は誘拐された」、「国際条約に違反する目に余る行為」といった表現を使った。しかし結果として、制裁なども含む具体的な政府の対策には言及しなかった。

 また、外国からの反応も幾つかあった。先週、スペインのミゲル・アンヘル・モラティノス外務大臣は、
「スイスの問題解決を援助するために仲介者として役に立つのであれば、その準備はできている。しかし、基本的解決策は両国間の話し合いだ」
 と語った。来年1月に欧州連合 ( EU ) 議長国になるスペインは、リビアとスイスの関係改善に積極的な援助の姿勢を見せている。

 リビアも加盟している「イスラム諸国会議機構 ( OIC ) 」もスペインと同様の態度を表明し、「もし両国が望むなら、仲介の役を買って出る」と述べている。

自己表現の開始

 こうした外国からの援助表明に対し、連邦政府はいかなるコメントも行っていない。ただ、以前の会見で仲介を立てることは得策ではなく、リビアはあくまで2国間交渉を望んでいると述べている。

 「アラブ・地中海地域研究センター ( CERMAM ) 」所長のハスニ・アビディ氏は、
「イスラム諸国会議機構からの仲介役の提案は、必要があれば行うという程度であって、それ以上のものではない。ただスイスはそれほど孤立してはいないということを証明した」
 と述べた。

 さらに、
「最近のハンス・ルドルフ・メルツ大統領とカルミ・レ外相の記者会見でのリビアに対するトーンの変化と拘束中のビジネスマンの家族の公的な場での発言は、西欧社会には『スイスは自己表現を始めた』と好意的に映っている。スイスにはまだ切り札が残っている」
 と語り、
 「それにリビアも経済制裁などを受けた暗黒の時代に逆戻りするつもりはなく、また国際社会からのけものにされたり、質問攻めに遭ったりする気もないはずだ」
 と分析した。

サイモン・ブラッドレー、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )

スイスとリビア これまでの経緯

2008年7月15日 リビアの最高指導者ムアンマル・ガダフィ大佐の息子ハニバル・ガダフィ氏と妊娠中の夫人がジュネーブで逮捕される。容疑は使用人に対する傷害、恐喝など。
7月17日 逮捕後2日で夫妻は釈放される。
7月19日 リビア政府、2人のスイス人を逮捕。容疑は入国・滞在規範違反。
7月22日 ミシュリン・カルミ・レ外相、電話でリビア政府に抗議。
7月23日 リビア政府、スイスへの石油輸出を停止すると脅す。
7月25日 スイス外務省が2国間関係の「非常事態」と発表。
7月26日 リビア政府がスイス政府に対し、謝罪と今回の事件についての事情説明を要求。
7月28日 スイス、リビア両政府の直接交渉が行われる。
7月29日 保釈金が支払われ、2人のスイス人は解放される。しかし帰国は許可されなかった。
8月13日、ガダフィ大佐の息子ハニバル・ガダフィ氏の使用人2人の弁護士が告訴を取り下げないと発表。
9月2日、使用人2人が告訴を取り下げる。
9月3日、ジュネーブ州の検事総長ダニエル・ザペリ氏が事件に終止符を打つ。

2009年8月20日 ハンス・ルドルフ・メルツ大統領 トリポリで謝罪。
8月30日 ハニバル・ガダフィ夫妻逮捕事件の合法性を問う裁判の裁判官として、スイスがイギリス人エリザベス・ヴィルムシュースト氏を任命。
9月2日 リビア側はパンナム機爆破事件のリビア側弁護士サアド・ガーバー氏を任命。
9月24日 国連総会でメルツ大統領、ガダフィ大佐と会見。
10月18日 スイス政府は6人の派遣団をトリポリに送るが、拘束者2人は帰国せず。10月20日 この日は2国間の協定で正常化に向けての条件を整える期限日だった。
10月22日 メルツ大統領とカルミ・レ外相は記者会見を行い、リビアに対する非難のトーンを強めた。しかし具体的な問題解決策は提示されなかった。
なお、拘束中の2人は9月に健康チェックを受けた後、安全な場所に移されたといわれている。

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