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世界8都市で人道援助共同アピール、ベルンでも

連邦議事堂内で歌う難民カルテット Keystone

第10回国連、赤十字などによる人道援助共同アピールが19日、世界8都市で実施された。

今年9月に正式加盟したばかりのスイスの首都ベルンも8都市に選ばれ、連邦議事堂の上に国連旗がはためき、難民シンガーのパフォーマンスなどが議会で繰り広げられた。

ルイーズ・フレシェット国連副事務総長(元カナダ国防次官)らは19日ベルンを訪れ、貧困、紛争などにより深刻な人道援助を必要とするコーカサス、ギニア、イスラエルによる入植地など30カ国と地域のための2003年の援助活動資金30億ドルの募金を世界に呼び掛けた。

今年の共同アピールのタイトルは「未来への希望」。が、ここに指定されている地域の現場職員が言うように、何十年間も紛争に苦しめられている人々にとって、希望を抱き続けるのはいかに難しいことか。イスラエル入植地の国連シニア職員ペーター・ハンセン氏は、この地の難民危機は52年前に始まり、入植そのものは今なお32年間も続いていると指摘する。「ここの人々には希望などない。それを何とか育てていく必要がある。」とハンセン氏はいう。また、国連北コーカサス人道調整官のフレデリック・リヨンズ氏は、この地域の人々を救済するため犠牲となった多くの援助職員のため弔辞を捧げた。リヨンズ氏によると、過去1、2年間で、57人のロシア人および外国人援助職員が拉致された。

国連は2003年度の人道援助資金として30億ドルをドナー諸国から期待している。が、昨年は目標額の57%が集まっただけという実績もあり、今年は50%から60%以上は集めたいと、フレシェット副事務総長は目標を語る。

フレシェット副事務総長は、資金拠出国はメディアの注目を集める地域に集中する傾向が強く、同じように、またはそれ以上に深刻な状況にある他の地域はしばしば無視される傾向があると問題を指摘した。「最も多く報道された地域が、より多くの資金を獲得する。情報が多ければ人々の関心が引き付けられるのは当然だ。だからこそ、メディアに誠実に貢献してもらいたい。」とフレシェット副事務総長は述べた。

スイスは国連加盟する前から世界最大資金拠出12カ国の1つで、国連の人道援助活動と赤十字国際委員会に年間2億8000万スイスフラン拠出していた。正式加盟国となった今、変わらぬ主要資金拠出国として、スイスはこれからは資金以上の貢献ができるとジョセフ・ダイス外相はいう。ダイス外相は「まず、スイスは中立国としての立場は維持する。国連システムの中で中立が強みとなると信じている。国連の活動には、スイスが付加価値をもたらすことができる主要エリアが3つある。人権、平和促進、開発協力の3つだ。この分野で、他国が提供できないニーズをスイスこそが提供できると思っている。」と語った。

長年国連加盟を支持してきたダイス外相は、国連がベルンを共同アピール開催地の1つに選んだ事を大歓迎している。「ニューヨークの総会で新加盟国として暖かく迎えられた加盟2ヵ月の我が国にとって、すばらしい事だ。共同アピールが成功することを祈っている。」とダイス外相は述べた。

国連、赤十字国際委員会などによる恒例の人道援助共同アピールが19日、ベルンなど世界8都市で行われた。
国連は資金拠出国に、2003年の30の国と地域の人道援助のため30億ドルの拠出を要請している。が、毎年目標額の半分ほどしか集まらないのが現状だ。
今年国連に加盟したばかりのスイスは、加盟前から年間2億8000万ドルを拠出していた世界最大拠出12カ国の1つ。

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