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冬の訪れを告げるベルン「玉ねぎ市」

毎年11月第4月曜日は、ベルン名物玉ねぎ市(Zibelemarit, ベルン弁でZibele=玉ねぎ、Marit=マーケット)が開かれる。今年は11月27日だ。連邦議事堂前広場には、名物のブドウ状に繋げた玉ねぎの束の他、野菜、食べ物、飲み物の屋台が立ち並ぶ。

毎年11月第4月曜日は、ベルン名物玉ねぎ市(Zibelemarit, ベルン弁でZibele=玉ねぎ、Marit=マーケット)が開かれる。今年は11月27日だ。連邦議事堂前広場には、名物のブドウ状に繋げた玉ねぎの束の他、野菜、食べ物、飲み物の屋台が立ち並ぶ。

昔むかし。1405年5月14日に、ベルンの町が全焼する大火災が発生した。再建後のベルンは、以前にも増して美しい町並みになった(現在ユネスコ世界文化遺産に登録されている旧市街。)。そのベルン再建作業に、隣の姉妹都市フリブール(建設者が共にツェーリンゲン家ベルヒトルド公爵)の住民達が多大な貢献をした。以来、毎年11月の第4月曜日には、フリブールの農家はベルンで玉ねぎ市を開き農産物を売っても良いという権利を得たというのが、玉ねぎ市の由来だ。

玉ねぎ市は公式には午前7時から午後7時までだが、実際には早朝4時から始まる。この日は全国からまたドイツ等近隣諸国からバス・ツァーが組まれ、ベルンが1年で1番混雑する日だ。連邦議事堂前のブンデスプラッツには、写真のように結んだ玉ねぎ、ニンニク等の野菜・果物の他、玉ねぎ市の日限定販売の「玉ねぎパイ(Zibelechueche)」、ローストソーセージやワイン、コーヒー等を売る屋台がぎっしり並ぶ。町のパン屋も、この日はほとんどの店で玉ねぎパイ一辺倒になっている。

ベルンの子供達にとっても玉ねぎ市は特別の日だ。この日だけは(特に午後)、紙吹雪をまき散らし、人をめがけて投げ付け、ピコピコ・ハンマーで叩いて回ることを許される。近年ちょっと年上過ぎる「子供達」が乱闘に発展するケースが多かったため、昨年あたりからピコピコ・ハンマー禁止に向かう動きがある。が、小さい子達が、特におじいさん、おばあさんめがけて紙吹雪をまき散らしながらチョコチョコ走り回るのは、玉ねぎ市ならではの元気で可愛い光景だ。

また、10年ほど前から始まった新しい習慣に、玉ねぎ市の前日の日曜日に行われるアーレ川寒中水泳大会Zibeleschumnがある。

玉ねぎ市が終わると、寒くて暗いベルンの冬が来る。雪の日も多くなる。



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