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各国に求められる排出削減義務



国連は参加国に対し、バランスの取れた結果に向けて取り組むよう要請する意向

国連は参加国に対し、バランスの取れた結果に向けて取り組むよう要請する意向

(Keystone)

メキシコのカンクンで開催されている国連気候変動サミットで、スイスは世界各国による温室効果ガスの厳しい削減目標は「きわめて重要」だと主張し、国際合意に向けた前進を強く呼びかける意向だ。

拘束力のある排出削減目標に対し、京都議定書の非締約国が従う意思を見せるかどうかがカンクン会議の成功の鍵を握ると、スイスのフランツ・ペレ大使は言う

気候変動に関する政策を

 11月29日からメキシコのリゾート地カンクン ( Cancun ) で開かれている「気候変動枠組み条約第16回締約国会議 ( COP16 ) 」では、資金問題、森林破壊、クリーンエネルギー技術、気候変動への適応に関する政策の進展に焦点が当てられている。今回の話し合いは、来年南アフリカで開かれる次の会議で目標とされる法的合意の下地となる。

 温室効果ガス排出削減に向けた国際合意が成立するにはまだ程遠いが、カンクン会議では、森林伐採の対策計画やクリーンエネルギー技術の採用に向けた措置のほか、途上国が気候変動に適応するための基金の設立にも大きな前進が見られるだろうと国連は期待している。
「骨はそろい、骨格は出来上がっている。あとは、いくつかの部分に肉付けをしたい。それぞれの交渉の場で具体的な進展が見られるような包括的な政策がほしい」
 とペレ氏は言う。また、京都議定書非締約国に対して、法的拘束力のある枠組みの基礎を設けることが「さらなる大きな1歩になる」という見解だ。

 前回のコペンハーゲン会議 ( COP15 ) で合意取り付けに失敗した際、カンクン会議を担当する国連高官ロバート・オール氏は、カンクンで最終合意に達すると期待する人は誰もいないと率直な意見を述べて後ろ向きな姿勢を見せ
「気候変動は一夜で生じたものではなく、一夜にして解決できるものでもない」
 と語った。

 国連の潘基文 ( パン・キムン ) 事務総長は12月7日から10日にかけて閣僚級会議を開く予定で、「バランスの取れた結果に向けて取り組む」よう各国に強く要請するつもりだ。

バランスを探る

 「本題に入ろう」
 と60の市民団体から成る組合「スイス気候同盟 ( Swiss Climate Alliance ) 」の広報担当パトリック・ホフシュテッター氏は言う。
「来年の会議で合意が実現するためには、政策に関するあらゆる要素をより高いレベルに持って行く努力が必要だ」

 ここでスイスは、先進国と新興工業国によるバランスの取れた誓約と譲歩を望んでいる。COP15で同意されたように、気温上昇を摂氏2度以内に抑えるという拘束力のある目標設定を支持している。また、途上国が気候変動に適応し、温室効果ガスの排出を削減できるよう、スイスは「かなり」の増資を行う計画だ。そして、途上国に対する1000億ドル ( 約8兆4120億円 ) の基金の運営を監視する専門家による作業部会の結成を提案するつもりだ。

きわめて重要な問題

 京都議定書に関する議論は、2012年末の期限失効後に第2約束期間に入るべきか、もし入るとしたらどのように、そしてどの国が参加すべきかについて交わされる。このポスト京都議定書を巡る話し合いは膠着 ( こうちゃく) 状態で、締約国は排出削減に合意できずにいる。

 スイスは京都議定書の約束期間延長に賛成だが、非締約国が同程度の厳しい目標に同意することが条件だ。
「京都議定書だけでは意味がない。その場合は、議定書の延長は望まないだろう。もし国際社会として気候変動問題の解決に失敗すると分かっているなら、今なぜ延長が必要なのか」
 とペレ氏は言う。
「この『もし』は非常に重要な問題の一つだ。これはカンクン会議の明暗を分ける要因になるとわたしは考えている」

 スイスは2020年までに温室効果ガスの排出を1990年比で20%削減すること、または、ほかの国が同様の目標を掲げる場合は30%削減することを目標に定めている。
スイス気候同盟は、ポスト京都議定書に関する作業のほとんどをカンクンで終える必要がある。
「ほかの課題を進展させるにはこれは不可欠な仕事だ。というのも、途上国の中には、先進国が過去に交わした約束を守っていること、そして、さらなる前進を試みていることを信じない国が多いからだ」
 とホフシュテッター氏は言う。

大統領の後押し

 環境大臣を兼任するスイスのドリス・ロイタルト大統領は、COP16に出席する数少ない大統領の1人で、そのような1人として会議で演説を行いスイスの立場を説明する予定だ。COP16でのロイタルト大統領のスケジュールはスイス気候同盟が組んだ。気温上昇の上限2度の設定のほか、スイスはより高い排出削減目標 ( 1990年比40% ) を設定し、気候変動に適応するための新基金の創出を支援したり、航空税のような新しい資金供給源を支持したりするという。

 最後に、特別交渉団体「環境十全性グループ ( Environmental Integrity Group ) 」のメンバーでもあるスイス気候同盟は、会議の場でスイスは弱気な妥協を防ぐために働きかけるべきだと言う。この環境十全性グループは、過去にこうした役割を担ったことがあるが、今回はメンバー国であるメキシコがCOP16のホスト国として中立な立場を取らなければならないので、その影響力は弱くなるだろう。

 「カンクンでは、ロイタルト氏が健全な地球環境に向けて重要な貢献をし、スイスが得意とするクリーンテクノロジー産業にとって最適な条件を作り出してくれるだろう」
 と、クリーンテクノロジー分野のリーダーを目指しているというスイスの目標にも触れながら、ホフシュテッター氏は言い
「幸運を祈る」
 と締めくくった。

気候変動に関するスイスの見方

スイス世界自然保護基金 ( WWF ) が行った世論調査で、スイス国民の69%が政府に対して温暖化対策の強化を望んでいることが分かった。
回答者の大多数が、スイスは気候保護でヨーロッパの最先進国になるべきだと回答した。この際に重要なステップは、健全な気候に関するイニシアチブで、2020年までに二酸化炭素 ( CO2 ) 排出量を30%削減することを求めている。投票は2012年に行われる予定だが、現時点で回答者の64%がすでに支持すると答えた。
73%は、政治家が気候変動問題の最前線に立ってもっと取り組むべきだと答えた。
18%は、気候変動を心配していないと答えた。
74%は、気候変動に関する国際合意が成立するしないにかかわらず、スイスは今現在からもっと厳しい環境保護政策を実施すべきだと答えた。

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国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議 ( COP 16 )

2010年11月29日~12月10日にメキシコのカンクン ( Cancun ) で開催されている。
気候変動に関する交渉プロセスは、「国連気候変動枠組み条約 ( UNFCCC )」 の締約国によるセッションを中心に展開する。COPは毎年開かれ、条約の履行具合を再検討する。
COP16では、気候変動への適応、温室効果ガスの排出削減、資金問題、京都議定書の今後などが話し合われる。
また、国連とメキシコ政府によれば、途上国が気候変動に対処し、クリーンな発展をまかなうための財源確保の設定に進展があるという。そのほか、各国の温室効果ガス排出量の測定と検証という難しい問題にも進展が見られるが、京都議定書に代わる案はまだないという。
京都議定書は、国連にとって温室効果ガスの排出抑制を実現させるための手段だが、2012年末に期限を迎える。
コペンハーゲン会議 ( COP15 ) では、120カ国以上が世界の平均気温の上昇を摂氏2度以下に抑える方法を模索したが、この目標をどう達成するかという点で意見が分かれた。
COP16に先駆け、中国は温室効果ガスの最大排出国であることを容認した。しかし、話し合いは、先進国、特にアメリカ主導で行われるべきだと述べた。

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( 英語からの翻訳 中村友紀 ) , swissinfo.ch


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