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夏はレスキュー隊が大忙し

レガ航空救助隊(Rega)のレスキュー・ヘリは、1日に30回出動することもある。夏の晴れた日は特に救助要請が多い

夏休みに入ると水や山の事故が増え、救助隊も多忙な季節となる。実際、夏の登山やハイキングでの事故は、雪山の事故よりもずっと多い。

人命を左右するのは、現場の位置と状況を正確に伝えることと、一秒でも早い救助開始。最近は携帯電話からの救助要請が少しずつ増え、携帯電話の普及は迅速な救助隊の活動にも一役買っている。

夏の事故が多い

 スイスは湖畔や川沿いのキャンプ施設が充実し、余暇を過ごす家族連れにも人気だ。事故も増えるが、目立つのは、1人で水に入り溺れるケースだという。

 プールで溺死するということは、まずない。周りに助けてくれる人がいる上、監視員もいるからだ。しかし、「1人きりで川や湖で泳いだりボートに乗ることは避けるべきだ。万が一のときに、誰も気づかず、救助すら呼べない」と助言するのは、「スイス人命救助協会(Schweizerische Lebensrettungs-gesellschaft SLRG)」の広報担当プリスカ・ヴォルフェンスベルガー氏だ。多い年で90人近くが、溺れて命を落とすという。

 しかし、スイスの夏に多いのはやはり山の事故。山岳救助というと雪山を想像しがちだが、実際は夏の登山者の救助件数の方が圧倒的に多い。「スイス事故防止事務局(bfu/bpa)」によると、山で事故に遭う人の約半数が7月から9月の3カ月間に集中しており、ハイキングや登山での事故件数はスキーなどの約3倍に上る。

 また、登山は年々人気が高まっているが、余裕のない計画や不十分な装備で山に出かける人も増えているという。2000年に5500件だった事故件数は、2009年には9000件と激増している。

 その一方で、中には「けがなし」の救助もある。事故防止事務局によると、疲労で動けなくなったため、あるいは暗くなり先に進めなくなったために救助を要請するという人が例年500人前後いる。緊急性がなく野宿が可能なら、保温して夜明けを待つように指示するケースも、夏には多々あるという。

 反対に緊急を要する事故で多いのが「滑落事故」だ。アルプス山脈とジュラ山脈では毎年1000人から1100人が滑落事故で救助されており、やはり夏の3カ月間に多い。

一秒でも早く

 このように山で万が一事故に遭遇したときの頼みの綱は、「スイス・アルペン救助隊(ARS/SAS)」や「ヴァリス州救助隊(KWRO)」といった山岳救助隊や、ヘリで出動して空からの救助を行う「レガ航空救助隊(Rega、以下レガ)」だ。こうした団体は協力体制にあり、陸路で現場に到着した救助隊が、現場の判断でレガのレスキュー・ヘリを要請することも多い。しかし、個人で直接レガに救助を求めることもできる。

 レガ広報担当のアリアン・ギュンゲリッヒ氏は、「緊急事態を知らせる人から電話があれば、基本的にはすぐにレスキュー・ヘリを向かわせる」と言い、「救助要請から15分以内の現場到着を目指しているが、特に生命にかかわる事故の場合は、一秒でも早く救助を開始することが重要だ」と強調する。

 レガの指令センターでは、現場の特定やけが人の状態などを聞き取り、適切な装備を指示し、準備を整えて医師と救助隊員がヘリに乗り込む。

 例えば、アイガー北壁での滑落事故で、常設の90メートルのウィンチ(巻揚げ機)では長さが足りないことが分かり、200メートルのロングラインをヘリ胴体部に設置してから出動したことがあった。「一秒を争う中で、正確な情報が人命を左右する」とギュンゲリッヒ氏は語る。とはいえ、緊急事態にあって自分の位置を正確に言える人はあまりいないという。

わずか2タッチでSOS!

 レガは、2010年2月に多機能携帯電話のアイフォンのアプリケーション「アイ・レガ(iRega))」を導入した。この新通報システムでは、アイフォンの通信圏内にいれば、わずか2回のタッチ操作でレガの指令センターとの通話を開始することができる。それと同時に、アプリケーションが位置情報や個人情報などのデータを自動送信する。

 「我々が電話で確認すべき内容を、利用者があらかじめアプリに入力しておくことで、指令センターでの情報処理からヘリ出動までの所要時間がかなり短縮される」とギュンゲリッヒ氏はアイ・レガの効果を説明する。

 これまですでに27万5000人がこのアプリをダウンロードしている。「実は、これほど多くの利用があるとは予想していなかった」が、導入直後からアイ・レガによる救助要請があり、効果を上げている。

 例えば、雪山でけがをして動けなくなった人の同行者が、アイ・レガで救助を要請。現場は通信状態が悪く、通話は不可能だったが、かろうじて位置情報などのデータだけが送信された。そのおかげで、即座にレスキュー・ヘリが向かい、けが人をウィンチで引き揚げ救助することができた。

 「通常の携帯電話では、通報すら困難だっただろう」とギュンゲリッヒ氏は話す。

 レガはそうした成果も踏まえ、アイフォン以外のスマートフォン(多機能携帯電話)などでも同様の機能が利用できるよう開発を進めており、早ければ2011年内にも実現する見込みだ。

レガ航空救助隊(Rega)

主にヘリコプターとジェット機で、緊急の救助と医療措置を行う非営利団体。1952年設立。約230万人(2011年4月現在)の会員の年会費と寄付金により運営されている。

職員約340人、うちパイロット25人、医師28人。国内14カ所にヘリコプターが17機、ジェット機が3機待機し、24時間いつでも出動できる体制を整えている。

外国の救助団体とも協力し、患者やけが人をジェット機でスイスまで輸送することも任務の一つ。牛などの家畜の救助も行う。

2010年の国内外の総出動回数は1万3726回。

山の事故は、件数としては夏が圧倒的に多いが、レスキューヘリの出動自体は冬に増える。雪などで陸路による救出が困難になるため。

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ヴァリス州救助協会(KWRO)

レガの活動から独立してヴァリス州に設立され、同州の認可を受けた民間の救助団体。航空救助については、エアー・グレイシャー航空(Air Glacier)およびエアー・ツェルマット航空(Air Zermatt)と協力体制にある。レガへの救助要請の電話がヴァリス州内からの場合、ヴァリス州救助協会に転送される。

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