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政府、新航空会社に公的資金10億スイスフラン投入

クロス航空ロゴ(上)とスイス航空ロゴ swissinfo.ch

破たんしたスイス航空とそれを引き継ぐ系列の地域航空会社クロス航空に、連邦政府は22日、公的資金10億スイスフランの注入を決定した。

22日に発表された政府のクロス航空への投資計画は、1. クロス航空はスイス航空の路線の3分の2にあたる欧州便26・長距離便26の計52路線と航空機を引き継ぐ、2. クロス航空は長距離便ライセンス問題が解決する2002年4月の夏季フライトスケジュール開始後スイス航空の長距離便を引きつぐ、3. 来年3月までの冬季スケジュール期間中はスイス航空が規模を縮小して長距離便の運航を続けるが、その資金確保のため総額42億4000万スイスフランのうち10億スイスフランを連邦政府が拠出する、というもの。カスパル・ヴィリガー蔵相は、10億スイスフランの公的資金は当初予定した増税ではなく財政赤字増加で調達すると発表した。

航空評論家のゼップ・モサー氏は、この救済計画を「死に体のスイス航空を無理矢理生かせておき、クロス航空に短期間で150%以上の成長を強いる無理な計画」であるとし、「感情論に支配されビジネスを忘れた計画だ。出資者はスイスの航空産業を救えという圧力から逃れられなかった。」と酷評した。が、スイスエア・グループの各労働組合は、従業員にとっては最善だと支持した。また、モーリッツ・ロイエンベルガー大統領は、人員整理は厳しいものになるだろうが、スイスエアが倒産するよりは解雇者は何万人も少なくて済むと語った。連邦政府は今月初めスイス航空が燃料費分の現金がなく運航不能に陥った後、4億5000万スイスフランの公的資金を注入した。

連邦政府以外のクロス航空への42億4000万スイスフランの出資者は、チューリッヒ州、バーゼル州、チューリッヒ市、民間企業からはUBS、クレディ・スイス、スイスコム、ノバルティス、ネスレ、ロシュ、スイスライフ、チューリッヒ保険、クデルスキー、チバ・スペシャルケミストリー、スイス・レなどで、外資はドイツ銀行1社だ。

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