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森の中でシュールな気分に浸ろう!~ブルーノ・ヴェーバー公園(Bruno Weber Park) ~

森の中に横たわる羊と馬を足して2で割ったようなファンタジックなオブジェ

森の中に横たわる羊と馬を足して2で割ったようなファンタジックなオブジェ

(swissinfo.ch)

霧の立ちこめる寒い日が続き、日照時間が最も短くなるこの時期は、気持ちも鬱になりがちである。だから天気のいい日はなるべく戸外で日光を浴び、新鮮な空気を吸って心身ともにリフレッシュするように心がけている。先日、気温は4度とかなり寒かったが気持ちよい青空が広がったので、“チューリヒで一番シュール”と言われる公園に散歩に出掛けることにした。なぜこの公園がシュールかというと、園内にファンタジックなオブジェが所狭しと置かれ、別世界の雰囲気に浸れるからである。

 この公園はブルーノ・ヴェーバー公園といい、チューリヒ州西部のディーティコン(Dietikon)という小さな町の郊外にある。広さはサッカー場2つ分強ぐらい(約2万平方メートル)で、小さな森の中にあるのでとても静かだ。観光ガイドブックにはまだほとんど取り上げられていない穴場のスポットである。

(swissinfo.ch)

 この公園は、ディーティコン出身の芸術家ブルーノ・ヴェーバー(2011年80歳で死去)の作品の野外展示場のような要素をもっている。彼の作風は、スペインのガウディやオーストリアのフンダート・ヴァッサーに通じるものがあると言えば想像しやすいかもしれない。作品はセメント素材で、色とりどりのタイルがモザイク状に埋め込まれている。まるで夢の中に出てくるような幻想的で不思議な魅力のある作品群に、子供だけでなく大人も思わず目が釘付けになってしまうのだ。

(swissinfo.ch)

 公園の目玉は、昨年5月に完成した親水公園部分。“翼のある犬”(高さ8m、長さ105m)と呼ばれる波形の龍のような形をしたオブジェの上を、池を中心にぐるりと歩く事ができる。ここからの眺めは格別で、公園が一望でき遠方の景色も楽しめる。無数のオブジェの他に、彼が住んでいた住居(一部は公開されている)や、彼がリラックスするためによく使った小部屋のあるキノコ状の建物もとてもユニークだ。

(swissinfo.ch)

 建物の壁面にかけられたプレートに、ドイツ語に翻訳された松尾芭蕉の俳句が書かれている。気になって家で該当する俳句を調べてみると、それは「鐘消えて 花の香は撞(つ)く 夕べかな。」であった。芭蕉がそうであったように、ヴェーバーも夕暮れの教会の鐘の音を聞きながら、どこからともなく漂ってきた花の香りに強く心を動かされたに違いない。日本の芭蕉とスイスのヴェーバーが、タイムマシンのように時間的、空間的な隔たりを一気に飛び越えて、ある瞬間に深く共鳴したという事実は意外だったが、とても興味深いと感じた。

 彼の芸術活動は、資産家であり芸術家でもあった妻のマリアンを始め、州の援助、有志の数多くの会社や個人の金銭的、人為的援助を受け50年にも渡り続いた。そして彼が死去した今でも“ブルーノ・ヴェーバー基金”により公園のさらなる拡大が着々と進められている。もし、あなたが日々の心配事やストレスから解放され夢の世界で遊びたくなったら、森の中のこの公園を是非訪れて欲しい。心が癒されることは間違いない。

森竹コットナウ由佳

プロフィール:森竹コットナウ由佳

2004年9月よりチューリヒ州に在住。静岡市出身の元高校英語教師。スイス人の夫と黒猫と共にエグリザウで暮らしている。チューリッヒの言語学校で日本語教師として働くかたわら、自宅を本拠に日本語学校(JPU Zürich) を運営し個人指導にあたる。趣味は旅行、ガーデニング、温泉、フィットネス。好物は赤ワインと柿の種せんべいで、スイスに来てからは家庭菜園で野菜作りに精をだしている。長所は明朗快活で前向きな点。短所はうっかりものでミスが多いこと。現在の夢は北欧をキャンピングカーで周遊することである。

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