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氷河の融解で将来ヨーロッパは水不足に

ヴァレー/ヴァリス州ゴルナー(Golner)氷河。2009年9月、環境保護団体グリンピースが綱渡りをして地球温暖化に対する責任を各国首脳に訴えた Keystone

アルプスの氷河の融解が進むとヨーロッパ全体の給水に影響が出る。フリブール大学の調査でこのような結果が出た。

このコンテンツは 2011/07/12 15:00
swissinfo.ch、外電

7月11日の発表によると、夏の間、ヨーロッパを流れる大河の水量の大部分は氷河が源となっている。

アルプス圏を超える影響

フリブール大学地球科学学部のマティアス・フス氏は、中央ヨーロッパの4大河川、ライン川、ローヌ川、ドナウ川、ポー川の水量にアルプスの氷河がどの程度関与しているのかを調査した。その結果、氷河はアルプス圏を超えた広域で、豊富な水量を供給していることが明らかになった。

フス氏は、スイスにある50の氷河を調査し、そのデータを4河川における水源から海への流出口までの水量と比較。このような方法で、夏の間、どれだけの水量が氷河から発しているかを計算した。この調査結果は専門誌「ウォーター・リソーシス・リサーチ(Water Resources Research)」上で発表された。

融解水の重要性

今回の調査で、8月にローヌ川から地中海へ流れ出る水の4分の1以上は氷河の融解水であることがわかった。イタリア北部を横断するポー川では水量の約20%、オランダのライン川では約7%、ルーマニアのドナウ川でも2.8%を占めている。

つまり、氷河が存在しなければ、各河川の水量は格段に減る。特に、2003年のような猛暑の際にはその影響は顕著に現れる。例えば、2003年8月にローヌ川を通って地中海に流れた水量の4割以上は氷河の融解によるものだった。

危ぶまれる航行

フス氏はまた、2100年までに氷河から流れ出る水量がどのように変化するかについても推計した。それによると、氷河は今世紀中ごろまでは十分な水量を提供することができるが、2090年代になると氷河自体が今日の1割ほどの大きさにまで縮小するという。

そうなると、ヨーロッパの河川に氷河の融解水はもうほとんど入ってこなくなる。その結果、河川の水位が下がり、船舶の運航や飲料水の供給に制限が出てくるようになる。また、河川沿岸にある発電所の操業にも影響が出ると予想される。フス氏は、このような変化に対する準備にこの調査が一役買えればと願う。

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