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葡萄収穫~ヴォー州エーグル(Aigle, Vaud)

モアナ夫妻の葡萄畑、背景にスイスアルプス、ダン・デュ・ミディ山群が見える

(swissinfo.ch)

ヴォー州には6つの葡萄栽培地区があります。ボンヴィラー(Bonvillars)、シャブレ(Chablais)、コテ・ド・ロルブ(C ôtes de l’Orbe)、ラ・コテ(La C ôte)、ラヴォー(Lavaux)、ヴュリ(Vully)で、いずれの地区もワインの名産地です。エーグルがあるシャブレ地区は、ヴィルヌーブ(Villeneuve)からベー(Bex)にかけての葡萄栽培地域を指します。葡萄畑の規模は、590ヘクタール、ヴォー州の葡萄畑総面積の15.8%を占め、ヴィルヌーブ、イヴォルン(Yvorne)、エーグル、オロン(Ollon)、ベーという5つのワイン生産地域を抱えています。

 私の住むレザン(Leysin)の麓にある町、エーグルはエーグル城の周囲に葡萄畑が美しく広がり、四季を通じ、葡萄の成長過程を見ることができます。この町では、1904年、エーグル葡萄酒醸造組合(Association Vinicole d’Aigle)が設立され、その年、正式な葡萄収穫が実施されました。エーグル産ワインの特色は、「粘土質の細かい土壌に育まれ、エレガントで繊細、鼻にグラスを近づけたときフルーティーな花の香りがし、その香りは、種を含んだ実の房と、日に焼けた畑の石粒を連想させる(Wikipédia, Chablais vaudoisより抜粋)」と言われます。今回は、葡萄畑の様子や、ワインを醸造する過程で欠かせない、ヴァンドンジュ(Vendange)と呼ばれる葡萄収穫を紹介します。

(swissinfo.ch)

 エーグルに住むモアナ夫妻(Guy & Suzy Moinat)は、クリスチャン・ブック・ストアを町内で営んでいて、毎春、ジュネーブで開催される国際ブック・フェアに参加したり、教会との連携行事などで忙しい毎日ですが、この夫妻には、意外な一面があります。それは、葡萄畑です。1999年、エーグルへ引っ越した際に購入した家には葡萄畑が敷地内にあり、町から「宅地にすることを一切許可しない、葡萄畑として管理していくこと」という条件をつけられていました。夫妻はそれ以来13年、今でも専門家のアドバイスを受けながら葡萄畑を管理し、シャスラ(Chasselas)という、この地域の70%の葡萄栽培農家が栽培している白ワイン用の葡萄品種を育てています。

(swissinfo.ch)

 毎年、年が明けると葡萄木の手入れが始まります。その年の気象条件によっても異なりますが、1~2月にかけて、前年の枝を切り落とす作業をします。スイスでは、垣根仕立ての栽培(葡萄の枝が地面と平行に成長するように、ワイヤーで誘引していく方法)を採用しており、3~4月は枝をプラスチックのリングで最下段のワイヤーに固定する作業を行います。この2つの作業はその年の収穫に大きく影響するので、必ず専門家に依頼します。4月の葡萄畑は生気に満ちています。スージー夫人は、葡萄栽培の専門家が剪定した葡萄木の枝先に一粒の水滴を発見する瞬間の喜びは格別だと言います。この水滴は、「葡萄木の涙」と呼ばれ、それぞれの葡萄木が一滴だけ付けるそうです。

(swissinfo.ch)

 そして芽吹きが始まります。太陽光線が強くなってくる5月、6月になると、葡萄畑では葉や蔓の成長が盛んで、葡萄の花が咲く頃、畑一面に甘い香りが漂います。実の付き始めには、うどんこ病などから葡萄を守るため、数回の薬物散布が必要となります。7月には、収穫する葡萄の量を調整するため、房の数を減らすと同時に、枝に残った房に充分に日が当たるよう葉も刈り込みます。8月、9月にかけ、葡萄は成熟し甘さが増します。この頃、葡萄酒醸造組合の担当者が葡萄の質、量、健康状態などを調査にやってきます。この調査結果は、その年の葡萄収穫の時期を定める大切な鍵となります。スージー夫人は「ほぼ毎年(98%の割合で)、葡萄花の開花日より100日で葡萄の収穫となるのよ」と教えてくれました。

 秋が訪れ、いよいよ、葡萄収穫の日です。モアナ夫妻の葡萄畑は、規模が小さいため、10名ほど人手が集まると、2時間半位で収穫作業を終えることができます。モアナ氏から鋏が手渡され、担当する葡萄垣が決まります。作業は、葡萄収穫係と葡萄搬送係に分かれ、収穫係が品質を確かめながら切り取った葡萄を15kgケースに入れ、ケースが一杯になると、搬送係が葡萄畑から運び出します。葡萄は地面に近いところに実っているので、かなり身体にきつい作業ですが、皆で楽しく会話をしながら、和やかな雰囲気の中で作業が進みます。キッチンでは、昼食の準備も進んでいます。収穫が終わり、さあ、600kgの葡萄を組合に搬送します。他の葡萄園の人たちも来ていて賑やかです。持ち込んだ葡萄は、まず重量と糖度検査を受けます。その結果を聞いた後、圧搾機に入れます。あっという間にプレスされる葡萄。その場でムー(môut)と呼ばれる搾りたての葡萄ジュースを試飲できます。

 組合から戻ると、昼食の準備ができていました。モアナ夫人の手料理が振る舞われます。持ち込んだ葡萄の質と糖度が発表され、葡萄栽培の一年が無事終了したことを感謝しながら、皆で食卓を囲みます。モアナ夫妻は葡萄畑から得る収入はたいしたことはないけれど、目前に広がる葡萄畑の美しさ、そして友人たちとの交流から得られるものは、金銭には換えられないと言います。聖書にも葡萄木やワインに纏わる話がたくさんあります。葡萄を大切に栽培し、葡萄畑を管理していくことは、この夫妻にとって、「意外なこと」ではなく、「自然なこと」なのでしょう。

小西なづな

プロフィール:小西なづな

1996年よりイギリス人、アイリス・ブレザー(Iris Blaser)師のもとで絵付けを学ぶ。個展を目標に作品創りに励んでいる。レザンで偶然販売した肉まん・野菜まんが好評で、機会ある毎にマルシェに出店。収益の多くはネパールやインド、カシミア地方の恵まれない環境にある子供たちのために寄付している。家族は夫、1女1男。スイス滞在16年。

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