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観光客に人気の白十字

人気の白十字をあしらったお土産を飾ったショーウィンドー チューリヒ市内(佐藤夕美 写す) swissinfo.ch

サーズ(新型肺炎)の流行やイラク戦争、そして不景気の影響を受け旅行を控える人は多いといわれ、スイスを訪れる外国人旅行者は減少の傾向にある。それでも夏はやはり旅行の季節。街にも山にも観光を楽しむ人の姿が見られる。外国人がスイスで使うお金は122億フラン。この中にはホテルや食事代のほかにお土産ももちろん含まれる。

チョコレートやカウベルのキーホルダーなど従来のお土産のほか、スイスを訪れる観光客が選ぶトレンディな土産品として、スイスのシンボルでもある白十字をあしらった小物が注目されている。絵葉書もスイスの地図や、チューリヒ市内の風景にマッターホルンを貼り付けたユーモアある絵柄が人気という。

 マッターホルン、アイガー、ユングフラウといった山々に瑠璃色に染まる湖。スイスは観光国としても有名だが、このところスイスを訪れる外国人の数は減少の傾向にある。

 連邦統計局の発表によると、2002年にスイスを訪れた日本人はおよそ42万人で、国別に見るとドイツ、米国、英国に続いて第6位だった。外国人旅行者がスイスに落としたお金は122億フランで、前年より3.5%減少した。6月のホテル総宿泊日数は2億7000泊と前年の6月より5.1%減っている。特にヨーロッパ外からの旅行者の宿泊日数が減少し、日本人の旅行者のそれはおよそ4割少なくなった。

ギャグやユーモアが受ける

 しかし、夏はやはり観光の季節。サーズやテロの危険を横目にレジャーを優先させた観光客の姿が、アルプスやドイツ語圏の観光名所のルツェルン市をはじめ、チューリヒ市内にも多く見かけられる。 

 2万種類以上の絵葉書を印刷し絵葉書では大手のフォトグローブのギオン・シュネラー社長によると、人気の絵葉書はチューリヒ市全景にマッターホルンをあしらった合成写真と赤地に白十字のスイスの国旗の絵葉書で、この数年にわたり、おのおの毎年2万枚は売れている。

 チューリヒの花火大会や春の祭りのオーソドックスな絵葉書より、若者が仮装してテクノ音楽で踊り歩くテクノパレードが2倍も売れるのは、ギャグやユーモアを故郷の友だちにメッセージとして送りたいと思うことも理由の一つ。

 「合成写真では、チューリヒとマッターホルンが一枚に写っているので分かりやすい」と前出のシュネラー氏。観光客は、自分が見たそのもののスイスであることにこだわらることはなく、アルプスの風景の中に走る車が30年前の古いモデルでも好みが合えば、観光客は喜んで買ってゆくという。                                                                                                                          

白十字はスイス人にも人気

 スイスの特産品や高級土産を扱う小売店のハイマートヴェルクではここ数年間、スイスの国旗でもある白十字をあしらった商品が人気という。キーホルダー、お財布、ショルダーバックなどの小物のほか、T−シャツはもちろん、背もたれに白十字をプリントした真っ赤な木の椅子もある。

 広報担当のジャックリン・ヴィルディさんは「観光客は従来のお土産に飽き足らず、斬新なデザインの小物を買ってゆく。スイス人も白十字の小物を好んで買うようになった」と顧客の動向を分析している。

 ベルン大学のマーケッティング調査によると、ブランドとしての「スイス」から受けるイメージは、高級、環境を大切にする、高品質など、好感度が高い。こうしたイメージがスイスのシンボルである白十字の人気にもつながっているようだ。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

スイスの国旗は赤地に白十字。国際赤十字の旗は白地に赤の十字架

救急箱に白十字が印刷されているといった間違いがある

スイスのパスポートを見て国際赤十字の職員と間違われた例もあるとか。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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