不法滞在の外国人を支援したとして、牧師がヌーシャテル州の裁判所から罰金刑を受けた
Keystone
アムネスティインターナショナルと慈善団体「国境を越えた連帯」は、人道上の理由で不法移民を支援する人たちを罪に問わないよう、政府に請願書を提出した。
このコンテンツが公開されたのは、
アムネスティインターナショナルの移住キャンペーン担当者パブロ・クルションさんは「連帯や優しさの心で、相手の身分証をチェックせずに手を貸した人が、有罪判決を受けることはこれ以上あってはならない」と訴える。
この訴えは、複数の人権活動家が不法移民を支援したとして有罪判決を受けたのがきっかけ。請願書は、市民約3万人と弁護士200人の署名を集めた。
2018年、972人が、外国人統合法116条に違反した罪で有罪判決を受けた。しかし、NGOの声明によると、密輸や利益目的はわずか32件だった。ほとんどは慈善目的だった。
同法116条は「違法な入国、出国、または違法な滞在期間の奨励」を行った人は罰せられるとし、それが慈善目的でも例外ではない。懲役刑から罰金刑への減刑は「稀なケース」という。
スイスは特別
スイスの国内法の厳しさは特殊だ。
フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、オランダ、ルクセンブルグ、スウェーデン、ポルトガル、チェコ、ポーランド、ルーマニア、マルタ、キプロスは、法定住所のない個人を支援する場合、人道上の理由であれば罪に問われない。罰せられるのは利益目的と認められた場合だけだ。アイルランドはこうした支援に対する罰則規定がない。
「国際法に足並みをそろえて」
NGOは、国際法は違法入国、出国、居住を鼓舞する意図は全くないと訴える。
欧州連合の指令はシェンゲン協定加盟国(スイスも加盟)に対し、人道的理由で難民または不法移民を援助した人はいかなる罰則規定からも免除するという権利を付与している。
国連は、人権擁護活動家の保護も求める。
クルション氏は声明で「アムネスティは新しい連邦議会に対し、リサ・マッツォーネ氏が提出した議会イニシアチブを受け入れるよう要請する。スイスが自由と友愛の原則を尊重し、支援提供者を罪に問うことのないように」と述べた。
おすすめの記事
スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。
もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
おすすめの記事
ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
このコンテンツが公開されたのは、
第78回ロカルノ国際映画祭で、香港出身の俳優ジャッキー・チェンさん(71)に生涯功労賞である「名誉豹賞」が贈られることが決まった。
もっと読む ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
続きを読む
おすすめの記事
不法移民に手を差し伸べた人を厳しく罰するスイス
このコンテンツが公開されたのは、
不法移民に食事やお金、寝床を提供することは、どんなに高尚な理由があってもスイスでは違法だ。毎年、何百人もの人々が外国人法に違反したとして有罪判決を受けている。宗教コミュニティ、関連団体、政治家はこの「連帯の罪」を合法化するよう求めている。
もっと読む 不法移民に手を差し伸べた人を厳しく罰するスイス
おすすめの記事
「ボートは満員だ」 ユダヤ亡命者を追い返したスイス政府
このコンテンツが公開されたのは、
1942年9月25~26日、スイス各州の移民局長会議が西部ヴォー州モントルーで開かれた。議題はスイスに押し寄せてくる大量の亡命者への対応だ。多くはナチスの手を逃れてきたユダヤ人だった。
もっと読む 「ボートは満員だ」 ユダヤ亡命者を追い返したスイス政府
おすすめの記事
インテグレーションと地域社会への参加
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、外国人のインテグレーション(統合)と公用語の会話能力が非常に重視されている。
もっと読む インテグレーションと地域社会への参加
おすすめの記事
スイスの受刑者、7割以上が外国人の理由
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはなぜ外国人受刑者が多いのか?スイス国民の購買力、国内における麻薬の需要の大きさ、スイスの人口構成がこの状況を説明するカギのようだ。
もっと読む スイスの受刑者、7割以上が外国人の理由
おすすめの記事
スイスのビザなし入国でも犯罪増えず
このコンテンツが公開されたのは、
スイスがシェンゲン・ダブリン協定に加盟してから今日で10年。スイス連邦統計局によると、スイス全国で犯罪件数が当時より2割減った一方、スイスの不法滞在者数は約15%増えた。
もっと読む スイスのビザなし入国でも犯罪増えず
おすすめの記事
なぜいま国連移民協定が必要なのか?
このコンテンツが公開されたのは、
国連移民協定が10日、モロッコで正式に採択される。国際的に協調して移民問題に対処する初の枠組みを定めた。このような協定がなぜ必要なのか、協定が多くの議論を呼ぶ理由、協定の策定に尽力したスイスが今回の会合に出席しない理由を探った。
もっと読む なぜいま国連移民協定が必要なのか?
おすすめの記事
スイス人の心配事は「年金」と「健康」 外国人や難民問題も上位に
このコンテンツが公開されたのは、
2018年の「心配事バロメーター」の調査によれば、今年も引き続き老後の蓄え、そして健康問題がスイス人の大きな心配事として挙げられていた。失業問題は順位が下がった。
もっと読む スイス人の心配事は「年金」と「健康」 外国人や難民問題も上位に
おすすめの記事
スイス、難民受け入れ継続
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは「第三国定住制度」の枠組みで、2019年に難民800人を受け入れる。受け入れ難民の大半はシリア出身。
もっと読む スイス、難民受け入れ継続
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。