Navigation

音楽産業、なくした儲けを嘆く

ヒップホップスターのリュダクリスも、彼のアルバムを無料音楽ダウンロードサービスでチェックしている Keystone

スイスの音楽産業は、インターネットで海賊版が流れているおかげで毎年数百万フラン(数億円)の損失をこうむっていると嘆いている。これは何とかしなければいけないと、音楽産業は総力をあげる決心だ。

このコンテンツは 2005/09/06 22:46

しかし、深く考えずに無料の音楽を楽しむ人々を取り締まることは簡単なことではない。

インターネットから音楽をダウンロードして手に入れるのも、好きな音楽をインターネットにアップロードして世間に公開するのも、マウスを何回かクリックするだけで完了する。音楽ファンにとっては夢のような時代になったものだ。しかし音楽業界にとってはたまらない。CDの売り上げは世界的に落ちこんでいる。

犯人捜しは山あり谷あり

世界の音楽業界の動向についてまとめた「世界音楽産業」(Global Music Industry ) は、2003年における全世界のCD売り上げの落ち込みは前年比7.6%減になったと発表した。この落ち込みはCDが初めて発売されてから最悪の減少である。

スイスの落ち込みはさらに深刻だ。スイス・インターネット不正コピー対策連盟(Swiss Anti-Piracy Federation、SAFE)によると、スイスの2003年のCDの売り上げは、前年比15%減を記録した。この事態を打開するため、SAFEはインターネット上で違法に音楽ファイルを交換する個人やそのようなサービスを行うウェブサイトを摘発する調査官を任命した。

スイスの法律では、著作権法に違反した者は何千フラン(何十万円)もの罰金が科せられる、悪質なケースについては逮捕されて刑務所送りという事態もありえる。しかし専門家に言わせれば、インターネットを通して不正に音楽著作権を侵している人々を実際に特定することは難しい。

まずはインターネットそのものの性質として、莫大な量の情報が飛び交う中で犯人を見つけ出すことは容易ではない。最新技術を駆使すれば、違法行為を行った個人のコンピュータを特定することは可能だが、実行するとなるとこれも一筋縄ではいかない。SAFEの広報、パリスマ・ベスさんが説明してくれた。

「個人のコンピュータを1つ1つモニターし、それを誰が使ったのかということを特定することだけでも大変な作業です。学校や会社など公の機関や喫茶店などに設置されたコンピュータを使った不正の場合では、犯人を突き止めることはほとんど不可能でしょう」

またインターネットは国境を飛び越えてやり取りされるが、著作権法は国によって異なる。「通常、スイスの法律は当然スイス国内だけに適用されます」と、スイス音楽著作権協会(Swiss Societyfor the Rights of Authours of Musical Works、SUISA)のフランス語支部法律部長、ヴァンセント・サルヴァドさんは言う。

例えば、イタリアのサイトで誰かが著作権を無視して無料で音楽を世界に配信しているとする。それをスイスでダウンロードして音楽を楽しんでも、スイスの著作権法をふりかざして起訴することはできない。

音楽を無料でダウンロードすることに関して言えば、合法と違法の差は非常にあいまいだ。実はスイスでは、音楽の無料ダウンロードは、それが友人や家族を含めた個人的な生活の中で楽しむのであれば違法とはならない。不正だと判断されるのは、無料でダウンロードした音楽やビデオをウェブサイトに公開することだ。

このままでは済ませない

だからといって音楽産業がこのまま指をくわえて利益が手から滑り落ちていくのを眺めているわけではない。アップルやソニーなど大手音楽関連企業は、「お金を払って楽しもう」と銘打ったサービスに力を入れている。彼らのホームページから、CDを買うよりずっと安い値段で音楽をダウンロードさせているのだ。

飴もあれば鞭もある。スイスのレコードプロデューサーは昨年、インターネットを使った著作権侵害を告発するキャンペーンを展開した。国際レコード産業連盟(International Federation of the Phonographic Industry、IFPI)は、「現在はびこっている不正な音楽の取引を今後厳しく取り締まるつもりだ」とコメントした。

しかし、人々がCDを買わなくなったのは、インターネットから音楽を無料にダウンロードできるからという理由だけだろうか?無料ダウンロードが音楽産業にどれほど影響を与えたのか、実際の金額はまだ分かっていないのだ。

専門家は、経済の不振やビデオゲームやDVDの登場なども、CDの売れ行きが減少している大きな理由になっているという。昨年、米国では「音楽産業が提供する音楽の幅が狭まっており、単に魅力がなくなったから消費者がCDを買わないのだ」とするレポートが発表され、音楽産業自体に非難の矛先が向けられた。

swissinfo、 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

キーワード

2003年における全世界のCD売り上げの落ち込みは前年比7.6%減。
同年、スイスでは前年比15%減。

End of insertion

このストーリーで紹介した記事

この記事は、旧サイトから新サイトに自動的に転送されました。表示にエラーが生じた場合は、community-feedback@swissinfo.chに連絡してください。何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いします

現在この記事にコメントを残すことはできませんが、swissinfo.ch記者との議論の場はこちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

共有する

この記事にコメントする

SWIアカウントをお持ちの方は、当社のウェブサイトにコメントを投稿することができます。

ログインするか、ここで登録してください。