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キャニオニング事故から10年 

アドベンチャー・レジャーのガイドはまずは危険度をチェックしてから。ヴァレー/ヴァリス州の渓谷にて Keystone

1999年夏、ベルナーオーバーラントでキャニオニングをしていた21人が波にのまれて死亡する事故が発生した。事故以来、規則が厳しくなり、アドベンチャースポーツは以前より安全になったと専門家の意見は一致するが、事故が全く起きない保証はない。

今年7月末には8人の観光客が、いかだを使って川下りをするリバーラフティング中、ヴィルデスヴィル ( Wilderswil ) のルチネ ( Lütschine ) 付近で転覆し、2人が死亡した。残りの6人はなんとか助かったという事故も発生している。

品質保証と安全保証の違い

 リバーラフティングの事故は10年前にザクセットバッハ ( Saxetbach ) で起こったキャニオニング事故を思い起こさせるものだった。当時、悪天候の中、3人のガイドを含むアドベンチャースポーツを楽しみに来た客18人全員が死亡した事故である。

 2001年には悪天候にもかかわらずキャニオニングを決行した旅行会社に対し、業務上過失致死の罪で、賠償金の支払い命令と執行猶予付きの判決が下った。この事故をきっかけとして、政府と州の当局、スイス・アウトドアー協会 ( Swiss Outdoor Association ) 、連邦事故防止アドバイス局 ( BfU/bpa) の代表者によるアドベンチャーズ安全基金 ( Stiftung Safety in Adventures ) を立ち上げ、安全基準を設定し、アドベンチャースポーツを観光客に売る業界に認定制度を敷いた。企業は、しっかりと教育を受けた従業員を雇い、認定されたインフラを使うことが義務付けられ、毎年数回、専門機関または自治体の担当者によるインフラの検査を受けることになっている。基準に達した企業には認証として保証スタンプが押される。

 「認証は品質保証だが、危険が全くないというわけではない」と事故防止アドバイス局の広報、マガリ・ドゥボア氏は警告する。2人が命を落としたリバーリフティングを企画した会社もこの認証を受けていた。スイス・アウトドアー協会も、事故当時の天候や川の状態には問題はなかったと証言する。当時、ほかの会社もリバーラフティングをやっていた中での事故だった。

最高保証

 「アドベンチャースポーツをする人は、危険が伴うことを分かっていなければならない」
 とスイス・アウトドアー協会のハンス・アレマン氏は指摘する。その危険とは、統計的に見れば自動車運転に伴う危険度と同じ程度だ。スイス国内共通となった認証についてアレマン氏は
「外から判断するのは非常に難しいので、判断の基準となるものだ。認証は安全面での最高の質を保証するものだ。従業員の教育やインフラの安全性のほかに、十分な保険が掛けられているかという点も見ている」
 
 こうした観点から見れば、キャニオニングもリバーラフティングも安全に関する講習や試験を通し、10年前より安全になったとアレマン氏は見る。

顧客層の変化

 「スイスラフトアドベンチャーズ ( Swissraft Adventures 本社イランツ ( Illanz ) ・グラウビュンデン州 ) 」のカタリン・ブルムベルク氏は
「変わったのは、すべてのガイドが正しく認証されていなければならなくなったということだ」
 と言う。

 つまり、外国人ガイドもスイスの基準を満たしていなければならないことを意味する。こうした対処が効果を上げていることは、統計を見ればわかると事故防止アドバイス局のドゥボア氏は言う。過去9年間において、スイスでキャニオニング の事故で死亡した人は、5人。一方、川やプールでおぼれて死亡する人の数は毎年30人に上る。
 「認証を受けた企業を選ぶことを強く勧める」
 とドゥボア氏は強調する。

 リバーラフティングは1990年代が盛期で、ザクセットバッハの事故以来、下火となったが、近年再び盛り返してきたとブルムベルク氏は証言する。最近の傾向は、学校や企業の遠足のグループの申し込みが増えたことだ。安全第一とするこうしたグループは、簡単なコースを選ぶという。アドベンチャーでアドレナリンの全開を求めるのは個人客が多くなっている。ブルムベルク氏によると「以前はリバーラフティングがアドベンチャースポーツの代表格。今は選択肢が広がり、アドベンチャー分野の中の1つという存在と化している」。
 
ジェシカ・ダシー、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、佐藤夕美 )

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