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「パブリック・アイ賞」で不名誉をたたえる

会場のダボスで「ピープルズ賞」を授与するラッパーのストレス Keystone

「パブリック・アイ賞」を贈っているのは、スイスのNGO「ベルン宣言 ( Erklärung von Bern/Déclaration de Bern ) 」と「プロ・ナトゥーラ ( Pro Natura ) 」。

不名誉な賞は「グローバル賞」、「ピープルズ賞」、そして「スイス賞」の3つ。また、これ以外にも名誉な賞「ポジティブ賞」も贈られる。

環境と人体を汚染する企業

 「栄えある」グローバル賞に輝いたのは、フランスの原子力企業「アレヴァ ( Areva ) 」社。理由は、同社がアフリカのニジェールに持つウラン採掘場の労働環境が悲惨であることだ。アレヴァはまた、今年初めて授与される「ピープルズ賞」も受賞。6000人以上の人々が、インターネットで同社を「醜態の第1位」に選んだという。アレヴァはアフリカの労働者に放射能の危険性について何も説明を行わず、また周囲の環境を汚染していることがその理由に挙げられている。

 残る「スイス賞」はその名の通り、スイスを所在地とする企業に贈られる賞だ。この不名誉にあずかったのは原料取り引き業者のグレンコア ( Glencore ) グループ。コロンビアにある同社の炭鉱は目に余る環境汚染の原因となっており、住民の健康を脅かしていると両NGOは非難する。

模範企業

 一方、模範となる企業活動を行っている企業に与えられる「ポジティブ賞」を受賞したのは、ドイツのエコ通信販売会社「ヘス・ナトゥーア ( Hess Natur ) 」だ。同社は開発援助組織の「ヘルヴェタス ( Helvetas ) 」と協力して、アフリカのブルキナファソで綿生産プロジェクトを実行している。「ポジティブ賞」はこのプロジェクトに対して贈られた。

 ベルン宣言とプロ・ナトゥーラは、WEFに対抗して世間の注目を集めるために2000年に「パブリック・アイ賞」を考案。この企画で、企業責任を問う法的拘束力のある規則を作り人間と自然を尊重する活動を行うよう、企業に求めている。

swissinfo、外電

「パブリック・アイ」はグローバル化を批判する催し物。

WEFと平行して、毎回ダボスで開催される。

開発援助に関わる政治組織「ベルン宣言」と自然保護組織の「プロ・ナトゥーラ」の共同プロジェクト。

「パブリック・アイ」は世界社会フォーラム ( WSF ) と密接な関係がある。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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