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ジュネーブ・サロン開幕

高級時計展のジュネーブ・サロン開幕。スイス時計産業には、少しながら暖かい風が吹き始めているようだ Keystone

第20回国際高級時計サロン ( SIHH/ 以下ジュネーブ・サロン ) が1月18日から22日までの予定で開催されている。

今年は、3万平方メートルの会場に出展は19社となった。サロンのファビアンヌ・ルポ会長は開幕式で今年の入場者数は10%から15%増加すると予想した。サロンへ入場は業界関係者に限られている。

スイス時計産業回復へ

 「獲らぬ狸の皮算用はできないが、昨年よりはうららかだ」
とルポ氏は語る。2009年はジュネーブ・サロンにとっても時計業界にとっても「非常に不安定な年だった」。それまでバーゼルの宝飾メッセ「バーゼルフェアー」と同時期の3月に開催していたが、昨年から1月に移行したばかりで、ちょうど世界金融危機にぶつかり「わたしたちは台風の目の中にいた」という。不景気でスイスの時計輸出総額は昨年11月までで24%減少。一時的に時計産業関連の労働人口の13%が失業し、製造者も安価な製品に製造ラインをシフトした。

 しかし、こうした厳しい数カ月間を経て「高級時計産業は多少なりとも回復している」とルポ氏は語る。特にアジア市場が重要な役割を果たしている。例えば、高級ブランドグループ「リシュモン (Richemont ) 」もアジア諸国の需要に押し上げられ、この日発表となった昨年第3四半期の売上は2%上昇した。スイス全体で見ても、昨年11月の輸出額は13億6000万フラン ( 約1200億円 ) と前年同月比で10.6%減少とたものの昨年の最高額に達し、これで底を突いたとも見られている。

 スイス時計協会 ( FHS ) のジャン・ダニエル・パシュ会長も
「昨年12月から今年1月には、輸出の回復が確実になるだろう。今年は良くなる」
 と語る。フォントベル銀行の金融アナリスト、ルネ・ヴェーバー氏も今年は転換期で時計業界の総売上額は前年比で4%上昇すると見込んでいる。

swissinfo.ch

ジュネーブ・サロン ( SIHH ) はジュネーブのメッセ会場「パレクスポ ( Palexpo ) 」で1月18日から22日まで開催。時計業界者向けのメッセ。A. ランゲ&ゾーネ、IWC、ピアジェ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど最高級時計メーカー19社が出展。
1月17日~22日までは、第1回ジュネーブタイム展 ( Geneva Time Exhibition ) も開催されている。時計業界者向けで、出展者は小規模の時計メーカー38社で、ほとんどがスイス企業。値段は500フランから30万フラン ( 約4万4000円から約2600万円 ) まで。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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