オレンジとサンライズの統合禁止
フランスの通信大手フランステレコム の携帯電話事業部門「オレンジ・スイス 」とデンマークの通信大手TDC傘下の「サンライズ 」の統合申請は4月22日、企業の統合に許可を与える、スイス競合委員会によって却下された。
却下の主な理由は、2社が統合した場合、統合した1社とスイスの通信大手「スイスコム( Swisscom) 」の2社が携帯電話市場を独占することへの懸念だ。
2社の市場独占化への懸念
「『オレンジ・スイス ( Orange Communication ) 』と『サンライズ ( Sunrise Communications ) 』の統合は消費者にとって利益が大きいと確信していた。またこの統合がなければ、スイスコムの市場独占傾向は固定されるだろう」
と、フランステレコムとTDCはコメントした。この2社は昨年末の統合決定に自信を持ち、許可を確信していただけに失望は大きく、今回の却下に対して上訴を行う可能性もあるとみられている。
一方、消費者団体はこの決定に
「スイス消費者のセンセーショナルな勝利と受け止めている」
とフランス語圏消費者連盟 ( FRC ) の会長マチュー・フロリ氏は話した。特に、同団体が提示した論点「スイスコムと統合した企業の2社による市場独占化への懸念」が、今回スイス競合委員会 ( COMCO ) の主な却下理由として取り上げられたことにも満足している。
さらにフロリ氏は、この決定は将来ほかの分野でも反省を促すことになるのではないかと見ている。例えば、スイスのスーパーマーケット市場は大手2社 ( ミグロとコープ ) が独占しているが、消費者は均衡が取れていないと見なしているという。
統合はチャンス?
確かに今回の勝利を歓迎する消費者団体だが、携帯電話事業そのものには、多くの不満を抱えている。システムの複雑さにより値段の比較が容易にできない、更新が自動的になされ契約解除期間がはっきりしないなど、さまざまな改善点が残っている。
ところで、モリッツ・ロイエンベルガー運輸・通信相は、今回の決定に対し驚きを表明し
「過去に、スイス競合委員会の勇気ある決定が、最終的に連邦行政裁判所 ( TAF ) によって修正されたことが何回かある」
と話し、今回もこれが最終の結末ではないことを匂わせた。
この2社統合に関し、かつてロイエンベルガー運輸・通信相自身
「リスクとチャンスの両方が考えられるが、わたしはリスクよりチャンスのほうを取りたい」
とコメントしていた。
外電、swissinfo.ch
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