スイスの視点を10言語で

スイス中銀、2022年は過去最大の赤字

スイス国立銀行
© Keystone / Gaetan Bally

スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が9日発表した2022年の決算速報は、1320億フラン(約18兆8千億円)の赤字だった。赤字幅は115年のSNB史上最大だ。

SNBの声明外部リンクによると、外貨建て資産に由来する損失は約1310億フラン、フラン建ての損失は約10億フランだった。保有する金は4億フランの評価益を得た。

損失は記録的大赤字だった2015年の230億フランを大きく上回った。赤字に終わったことで、連邦政府と州政府に対する配当金(日本銀行の国庫納付金に相当)は支払われない。

決算が黒字の場合、SNBは最大60億フランを配当金とし、3分の2を26州の政府に、3分の1を連邦政府に収める。ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)外部リンクによると、2023年の連邦予算には配当金として最大20億フランが計上されている。カリン・ケラー・ズッター財務相が1月末までに修正予算を提出する。ルツェルン州など一部の州は赤字に転落する。

2021年は260億フランの黒字となり、分配金は過去最大の60億フランだった。

アナリストによると、2022年の損失がSNBの金融政策に影響する余地は小さい。SNBのトーマス・ジョルダン総裁は2022年、インフレ進行を食い止めるため3回の利上げに踏み切った。マイナス0.75%だった政策金利は年末には1.0%まで引き上げられた。

SNBは3月6日に決算の確報を発表する。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部