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為替問題 スイスフラン、再び「安全なリスク回避先」に



資産の安全なリスク回避先は、英語で「セーフ・ヘイヴン(safe haven)」と呼ばれ、直訳すれば「安全な避難港」を意味する。経済情勢が不安定な昨今、そんな「安全な避難港」にたどりつくのは容易ではない

資産の安全なリスク回避先は、英語で「セーフ・ヘイヴン(safe haven)」と呼ばれ、直訳すれば「安全な避難港」を意味する。経済情勢が不安定な昨今、そんな「安全な避難港」にたどりつくのは容易ではない

(AFP)

ギリシャの再選挙が刻々と迫るなか、投資家は資金を安全なリスク回避先に移そうと必死だ。一方、スイスを含む各国では、そうした投資マネーの流入防止に奔走している。

 ギリシャがユーロから脱退する可能性があり、経済的混乱がほかの債務大国にも広がるとの危惧から、スイスフランには外国の投資家から再び熱い視線が注がれている。

 スイス国立銀行(SNB/スイス中銀)は昨年9月、1ユーロ=1.20フランをスイスフランの上限に設定。以来、今年4月上旬の短い期間を除けば、スイスフランは安定している。2010年のようにスイス中銀が支出超過で赤字に陥ることもまだない。

 しかし、ギリシャ問題やスペインとポルトガルの債務問題など先行きが不安で、外国からの投資マネーが再びスイスフランに流れてくる可能性が浮上している。そのため、スイス中銀は為替レートの上限設定以外にも、何らかの手を打とうと考えている。その一つとして、外国からスイスへの投資に課税を設ける案が挙がっている。

各国に流れる投資マネー

 不安定な経済状況では、投資家は必然的に低金利通貨を投資先として選び、ローリターンでも満足する。資産が縮小しないようにすることが一番だからだ。

 そのため、スイスフランは経済危機後、安全なリスク回避先として外国から買いが殺到した。だが、この際問題となるのは、通貨としての評価や為替レートがゆがめられてしまい、輸出品の価格が破壊されてしまうことだ。

 日本でも円が安全通貨として買われており、過去に例を見ないほどの円高となっている。そのため日本は昨年末、円高対策として10兆円規模の市場介入を発表した。

 また、投資家の興味はスウェーデンのクローナやノルウェーのクローネにも向けられている。だが、スウェーデンには流動性が不十分であるとの懸念や、ノルウェーでは金利削減が今後も行われるとの不安から、外国資産が両国に一気に流入することは起きていない。

 米ドルは住宅ローン市場の崩壊や相次ぐ金融緩和政策により、投資先としての地位を失っていたが、最近ではアメリカの経済に安定的な回復の兆しが見られることから、リスク回避先として買われることが多くなってきた。

ドイツへの投資

 ヨーロッパではスイス以外にも投資マネーがさまざまな国に流れている。ドイツやオランダの国債には南欧諸国からの資産が投入されたり、ロンドンの不動産やイギリス・ポンドも投資先としてここ数カ月で人気が集まっている。

 UBS銀行のウェルスマネジメント主任のダニエル・カルト氏は、ドイツではギリシャの債務引き受けに対し反発が強く、それがドイツのリスク回避先としての魅力を高めているとみる。

 カルト氏はまた、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がユーロ共同債発行に反対している限り、ドイツ国債は今後も買われ続けるだろうと予想。一方、「もしドイツが南欧諸国の債務をさらに肩代わりすると合意すれば、ヨーロッパで最大のリスク回避先となる資産市場が崩壊するだろう」と言う。

また投資マネーの受け皿に?

 経済的に不安定な状況では外国資産の逃避先が転々と変わるため、スイス中銀が対策を講じたとしても、スイスフランの評価が再び高まる可能性が高いと、一部の専門家はみる。

 過去2年間でギリシャから引き揚げられた資産額は数十億万ユーロにものぼり、こうした資産は近郊のキプロスを含め、スイスやほかの国々へと移されている。

 スイスは今のところ、外国からの投資マネーを吸収できているが、ギリシャがユーロから脱退するとなれば、スペインやポルトガル、さらにはイタリアなどでパニックが広まり、取り付け騒動が起こるのは想像に難くない。もしそうなれば、どんなに対策を取ったとしても、スイスフランに再び資金が押し寄せてくることは防げないだろう。

安全資産としてのスイスフラン

スイスフランは日本円と同様、「安全通貨」と呼ばれている。安全通貨とは、資産の安全なリスク回避先となる通貨で、ユーロや米ドルなどの通貨に売り圧力がかかる場合、投資家に購入される。

安全通貨は、健全な経済はもちろん、安定した政治制度や国際取引きに十分な流動性に支えられている。

中立国であるスイスでは、保守的な経済政策が行われ、金融部門も強く、資産の安全な逃避先としての歴史は長い。特に両世界大戦中では多くの外国資産がスイスに流れ込んだ。

スイス国立銀行(SNB/スイス中銀)は2009年3月に為替市場への介入を開始。2010年5月には国内総生産(GDP)の15%にあたる資金を市場に注入したが、ギリシャ債務危機の発生でスイスフランの評価が急上昇したことを受け、同年6月に介入を中断した。

この介入の影響で、スイス中銀は210億フラン(約1兆6800億円)の損失を出し、当時のフィリップ・ヒルデブラント総裁は辞任を迫られた。

しかし、政界や輸出産業から強い圧力を受けたスイス中銀は、再び為替市場に介入し、2011年9月にはスイスフランを1ユーロ=1.20フランとする上限を設けた。

上限設定と同時に、スイス中銀は無制限に外貨を購入する構えがあると発表。それ以降スイスフランは上限を少し下回る値で維持されている。

スイス中銀は昨年、178億フラン(約1兆4250億円)をスイスフラン高対策に費やしたが、同年1年間の収支は黒字だった。

インフォボックス終わり


(英語からの翻訳・編集、鹿島田芙美), swissinfo.ch


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