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金に姿を変えるアクセサリー



このネックレスも売られて金に精錬されてしまうのだろうか?

このネックレスも売られて金に精錬されてしまうのだろうか?

(Keystone)

金の価格が上昇し続けている今日、多くのスイス人が引き出しの中に眠っていた古いアクセサリーや金製品を売り、現金に換えている。

貴金属を売りたいときは、足を棒にして歩き回る必要はない。新聞を広げれば、金を買い取る店舗の広告が必ずいくつかあり、ショッピング街を少し歩けば、貴金属を買い取ってくれる店がすぐに見つかるのだ。

中古品価格

 スイスにある貴金属リサイクルショップ「貴金属サービス ( Edelmetall-Service )」のマネージャー、モニカ・バオムベルガー氏は、全ての店が同じ値段で取引をしてくれるわけではないと言う。

 「中古の貴金属取引価格は相場が決まっていません。旅商いをするディーラーが多いので、価格は取引相手次第なのです。取引相手によって価格に大幅な違いがあることに気づくでしょう。取引の際、素人は妥当な価格が分からないため、これは少し問題です。時には微々たる価格でだまし取られてしまうケースもあります」

 しかし、専門のディーラーや宝石商でさえ、デザインやブランドなどの価値ではなく、金属の含有量に対する金額しか支払わないとバオムベルガー氏は指摘する。
 「わたしたちは、顧客には持ち込んだ宝石に対してお金を支払いますが、その金額は、宝石の価値の数分の一だけになると説明しています」

 老舗ではみんな、顧客が持ち込んだ貴金属に対してほぼ同じ金額を提示するが、大切なことは取引が明白で、顧客が必要な情報をすべて提示することだ。

 価格は貴金属の純度や重量によって決まっているが、正統な専門家は、顧客が品質証明書を持っていなくても、金の正確な含有量を調べることが出来るという。

貴金属に対する価値観の変化

 スイス西部で事業を展開している貴金属チェーン店「ゴールド&キャッシュ ( Gold & Cash )」で金のバイヤーを務めるクリスチャン・ボネー氏はフランス語圏の日刊紙「 ラ・リベルテ ( La Liberté ) 」で貴金属に対する価値観が急速に変化していると語っている。

 「以前はみんな、昔からのしきたりとして金を保管していましたが、今日では、貴金属を売り、それが精錬されることにこだわりがなくなりました。」
 とボネー氏は語る。

 ボネー氏は2008年に事業を始めたが、その後確実に店舗を増やし、今ではスイスに13店舗、フランスに2店舗を持つ。将来はさらに事業を拡大していく予定だ。

 バオムベルガー氏はなぜこのように貴金属店が流行るのか説明する。
 「多くの人が、長い間使っていない古い宝石を、家の中の引き出しにずっと保管しています。彼らがそういった宝石を売る機会はこれまで全くなかったのです。しかし中古の金製品を買い取る店舗について頻繁に報道されるようになってから、一般の人にも知られるようになったのです」

 「金を売る顧客は、金のチェーンネックレスや指輪に飽きてしまってもう必要ないという比較的若い人から、高価な宝石だけれど気に入らなくなった、またはもう身につける機会がなくなったというお年寄りまでさまざまです。また、遺産相続した宝石を売る人も多くいます」
 とバオムベルガー氏は付け加える。

 ほかによくあるケースとして、過去に押し込み強盗に遭った経験があり、また盗難に遭うよりは、所持している貴金属をすべて現金化したいという人もいる。

 一方で、店舗に持ち込まれた宝石が盗難品である可能性も常にある。バオムベルガー氏が勤務する店舗では顧客の身分証明書を確認し、盗難品については警察から随時通知を受けているという。

金は世界各国からスイスへ

 スイスには世界でも優良な貴金属精錬業者があり、4社ある精錬業者のうち3社はイタリア語圏のティチーノ州に、1社はヌーシャテル州にある。イギリスの通信社「ロイター ( Reuters )」によると、世界の4割の金はスイスで精錬されているという。

 しかし、ある精錬業者に勤めるマネージャー ( 匿名希望 ) は、今では精錬業者の仕事の2割は宝石の金をリサイクルする作業だと明かす。

 宝石の金をリサイクルして売却しているのはスイスだけではなく、世界各国が行っているが、スイスに最も多く金を売却しているのはベトナムだという。「ラ・リベルテ ( La Liberté )」紙では、中古の貴金属をリサイクルして売却する国に、フランス、イタリア、イギリス、アメリカ、日本、香港、シンガポール、アラブ首長国連邦などの名を挙げている。また、今年の1月から8月までにスイスは世界各国から85トンの金を輸入したが、そのうちベトナムだけで45トンを占めるという。

信頼性

 ほかの精錬業者の代表者 ( 匿名希望 ) もスイスに金が集まるのは、全ての精錬業者が「ロンドン市場受渡適合品 ( London good delivery bar )」を生産することができることを理由に挙げている。スイスの精錬業者は、ロンドン地金市場協会 ( London Bullion Market Association ) が設けた極めて厳しい基準を正確に満たすことが出来るのだ。これは、主要な国際市場や政府、銀行などが取引する際の基準でもある。

 また、顧客の間では、スイスは信頼のおける国として知られている。
「顧客がわたしたちに精錬前の金を送るときは、金は業者に預けているだけで、あくまでも顧客自身のものだという確信がなければなりません。わたしたちは、顧客のために金の精錬作業をするだけなのです」
 と精錬業者は語る。

 金は新しくても、古くても、精錬されれば全て同じものになる。
 「わたしたちは金鉱山から採掘された金鉱石、もしくは中古の宝石から解体された金を受け取った後、金の含有量をチェックします。それから不純物を精錬して取り除き、その後は希望する形に仕上げます」
 と精錬業者は説明する。

 精錬された金は、銀行などが買い取り、さらに金の購入を希望する個人客に売却される。もっとも、金は価格が比較的安い時に投資目的で買われる。金は輝きを失わず、いつの時代も価値あるものなのだ。

 「昨年以降、銀行に対する信頼が失われてしまったため、多くの人が株などの投資を避けるようになりました。それに対し、金はいつの時代も安全な投資なのです」

金について

金の価格は2010年10月15日に米国市場で史上最高値の1オンス1388.10ドル ( 約11万3000円 ) を記録した。
金は、商品先物取引などの金融商品としても、貨幣のように金融資産としても扱われる稀な存在。
金は実質的に腐食しないため、これまで金鉱山から採掘され、精錬された金はすべて地上に存在している ( 地上在庫 ) が、そのうちの3分の2が1950年以降に採掘されたもの。
地金は主に、中央銀行や政府主要部、国際通貨基金 ( International Monetary Fund )、ヨーロッパ中央銀行 ( European Central Bank ) などの特別な国際機関に保管されている。
金の年間需要は、宝石市場、工業分野 ( 主に電子機器だが歯科医業やほかの応用品も含まれる )、投資分野の3部門における総計により決定する。
金は、金鉱山から採掘された金鉱石と、すでに貴金属に加工されたものを金にリサイクルすることによって供給される。

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金の魅力

金は、少なくとも7000年前から貨幣や装飾品など特別な物として扱われ、人々を魅了してきた。
その価値は、エジプト王朝時代にも認められ、経済手段として利用されていたことが記録されている。
中国から古代ギリシャ、ローマ帝国、インカ帝国、先コロンビア時代のアステカ帝国に至るまで、民族や宗教、歴史の相違を超え、すべての文明国が金をほかの貴金属よりも高価なものと認識していた。
金は化学的腐食に対して強いため、錆びにくく、空気に侵食されることがない。また、金のアクセサリーはほかの貴金属と比較して、身につけても皮膚にアレルギー反応が起きにくい。

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( 英語からの翻訳、白崎泰子 ), swissinfo.ch


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